生のパンダは少し前まで見たこともなかった

岡山 描きやすいのかな?(笑)特に「パンダ大好き!」というわけではないんですけどね。ほんの数年前まで、本物のパンダを見たこともなかったですし。

―― (爆笑)生のパンダを見たことなかったんですか!

エイイチ 「パンダ親父」の作者がパンダを見たことなかったなんて。これはスクープですね(笑)。

―― パパも子どもも動物なのに、ママだけ人間なのはどうしてですか?

岡山 本のあとがきで詳しく書きましたが、奥さんまで動物だと、あまりに世界観がファンタジーになりすぎて、読者が共感できないかなと思ったんです。主要な登場人物が動物という以外は至って普通の、リアルな世界ですからね。現実世界とのリンクを外さないようにしたかったんです。

 でも、実は一番の狙いは、「なんで奥さんだけ人間なの?」と聞かれたい、突っ込まれたい、つまり「ちょっと引っ掛かってもらいたい」ということなんです。少しでも読み手の心に残るようにと。だから、その質問はまさに僕の狙い通りなんですよ(笑)。

エイイチ 不思議な世界観ですよね。誰も登場人物の中でそれにツッコむ人もいないですし。

岡山 子どもは保育園の友達含めて、全員動物にしました。でも、運動会などで撮影しているパパの中には犬がいたりして、なんかもうメチャクチャなんです(笑)。

―― でも、計算して引っ掛かるようにちゃんと世界観を考えているということですね。まんまと引っ掛かりました。エイイチさんも、スキンヘッドを前面に出したことやママを出さないことは計算だったんですね。みんな計算高いですね(笑)。

エイイチ あ、記事にするときは妻のアドバイスじゃなくて、僕の戦略だって書いておいてくださいね!

―― 嘘はダメですよ。

構成/荒木晶子 イラスト/岡山進矢、エイイチ

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岡山進矢(おかやま・しんや)
岡山進矢(おかやま・しんや) 熊本県出身、東京在住。多摩美術大学染織デザイン科卒業後、広告プロダクション勤務を経て独立。2014年12月から2019年2月まで、日経DUALで四コマ漫画「パンダ親父」を連載。主にグラフィックデザイナーとして、雑誌や新聞、広告などの印刷媒体で仕事をしつつ、イラストレーターやライターとしても活動。Tシャツブランド「エスケープ・ゴースト」主宰。沖縄好きが高じて、泡盛関連のデザインやPR活動も。妻、小学校3年生の長男、保育園年長の長女の4人家族。
エイイチ
エイイチ 神奈川県在住。2017年2月から2019年3月まで日経DUALで「健気なボクと毛無毛なパパ」を連載。デザイン会社に勤務したのち、「子育てや家事にもっと協力していきたい」という思いも含めて独立。イラストレーターとして、全国誌にて芸能人の似顔絵や挿絵などを描く他、ロゴデザインから学校の教育アニメや公共CMアニメなどの動画まで、幅広く企画から手掛ける。妻、保育園年長の長男の3人家族。https://a-ichi.jp/