ところが、今回はLINEに投稿するまでもなく、複数のママさんからお誘い、お助けをいただきました。本当にありがたい限りでした。

 3人でご自宅におじゃまして夕食を共にしたり、あるいはウチに来てもらってバーベキューを楽しんだり、公園やプールで遊んでいたりすると、子どもは気が紛れましたし、私も大変助けられました。駐妻さんの世界に、異分子である1人の駐夫が放り込まれてからだいぶ時間がたち、彼女らとの距離感が縮まったのかもしれません。

 子どもたちに「ママがいなかった時、さみしくなかった?」と尋ねてみると、口をそろえて「さみしくなかった」。「パパが頑張ったから?」とわざとらしい誘い水を向けてみたら、それには答えてくれませんでした。しかし今回は、私なりに手ごたえがありました。もちろん、ワンオペは今後もない方がうれしいのは言うまでもありませんが、仮に次回あったとしても、何とか乗り切れる自信が多少なりともあります。

 その理由として、最近は「傾聴」を心がけているという結論にたどり着きます

「傾聴」の手法を子どもに対しても実践

 数年前、産業カウンセラーと国家資格キャリアコンサルタントという資格を相次いで取得しました。週末を利用した講義や実習では、カウンセラーに必要な基礎として、相談者の話を傾聴するよう徹底して教え込まれました。その上で、傾聴の基本的態度に(1)受容——相手の話を肯定的にそのまま受け入れる、(2)共感——相手の感情をくみ取り、理解し、共感姿勢を示す、(3)自己一致——ありのままの自分で相手と向き合う、とする3つの条件があります。

 これは、米国の臨床心理学者、カール・ロジャーズが1940年代に提唱したカウンセリングの理論と方法です。多くのカウンセリング理論の基礎となって、現在もその考え方はカウンセリングの世界に大きな影響を与えています。

 私が、子どもの心や行動を先に読んでしまう過干渉から脱却し、待つことができるようになったことは以前書きました。これと似ている面がなきにしもあらずですが、傾聴は基本的に異なったアプローチです。そして、子どもとの接し方で活用してみたところ、大きな効果を発揮しています。

 最も取り組みやすい技法として「事柄への応答」と「感情への応答」というものがあります。相手が子どもと仮定し、少し説明してみます。