主夫&駐夫としての“肌感覚のようなもの”を共有しているため、言葉がなくても分かり合える気がするほど。妻や駐妻に相談できない話でも、包み隠さず、色々話すことができます。本当にありがたい同志です。この助け合える関係を、今後も大切にしたいと思っています。

 妻に言わせると「あなたは渡米後も、自分の決断にずっと迷いがあったと思う。そんなときに、男同士で気持ちを言い合える現役米国暮らしの先輩主夫に出会えて本当に良かったし、優しくなったと思う。私もすごくうれしいよ」とのこと。

 確かに、渡米直後は私も妻も、公的な手続きや家具の宅配などが日本のようにスムーズにいかない米国の現実に直面し、思い通りにいかないイライラが募り、口を開けばケンカを繰り返していました。挙句の果てには「俺には戻るところがある。1人で日本に帰るからな」と捨て台詞を何度か吐いたことも。そんな風に子どもたちを悲しませていた自分が今では情けなくもあり、懐かしくもあります。

 ちなみに、駐在員の夫だけではなく、駐在員とのつながりも重要視しています。幸運にも、自社のNY支局員に加えて、記者時代の知り合いがNYに数多く勤務しています。大学の先輩や後輩もいて、たまに交流を深めています。

 一方、6月には、長女が通う日系幼稚園のクラスメート家族全員に声を掛け、ビアガーデンで飲み会を開きました。駐妻同士だとなかなか言い出せない、決めにくいような事柄も「駐夫が一人いると、進みやすいだろう」と勝手に自分で解釈し、半ば強引に進めましたが、パパたちから「こういう横のつながりを求めていました。ありがとうございます」と感謝されたのが、何よりも心地よいものでした。

駐妻との関係は良好なのか

 では、駐夫である私と駐妻との関係はどんなものでしょうか。幼稚園の行事などに関して、駐妻たちと連絡し、会って話すのは、わが家の場合、妻ではなく私の役割です。ただでさえ、男子は珍しいですから一発で顔と名前を覚えてもらえるのは大きなメリットです。ただ、それを生かすも殺すも自分の努力、立ち居振る舞い次第というのが現実だと思われます。

 年3回ほど開かれる幼稚園の保護者会、その後の懇親ランチ会は、まるで丸裸の男子一匹が女子会に乗り込むような感じです。どう見ても、多勢に無勢ですから、謙虚におとなしくしているのが正解です。基本的には、笑顔を浮かべ、柔らかく話しかけるよう心がけています。今のところ、交流関係はうまくいっているものと信じています。複数のLINEグループにも混ぜてもらっています。

 ただ、正直に言えば、最初は話を合わせるのに苦労しました。バリバリ働いていた自分をまだ引きずっていたためです。