「なぜ、同行するのは女性ばかり・・・?」

 なぜ、配偶者の海外赴任に同行する女性は多いのに、男性は少ないのでしょう。一つには、「女性活躍」が叫ばれても、まだまだ日本は男性中心の社会であることが挙げられます。女性の社会進出は道半ばです。ましてや海外に異動するなんて、男性に比べて圧倒的に少ないのが現実でしょう。中には、海外勤務を希望しても、夫や子ども、両親らが反対し、断念したケースもあるはずです

 休職制度が整っていない企業や団体が多いという事情もあるかと思います。組織に制度の創設を訴えても理解されなかったり、身近に参考になるロールモデルがいなかったりすると、かなり厳しい決断となるはずです。さらに、私もそうでしたが「男子たるもの」という昭和的なプライドが、男性の決断を邪魔します。キャリアを中断することが、自らの将来形成に大きく影響するかもしれない、との不安は私自身よく理解できます。

「職場復帰に不安ないといえば、嘘になるが…」

 渡米してから半年が経過しました。海外生活は初めてです。異文化での発見、人との出会いは刺激にあふれ、パパとして、記者としての尽きない好奇心を十分満たしてくれます。

 私は主夫業に、妻は職場、子どもたちは幼稚園とそれぞれの環境に適応し、楽しく過ごしています。慣れない家事・育児で、いまだに四苦八苦していますが、子どもを独り占めして、100%の愛情を注ぎながら、べったりと寄り添い、ぬくもりを感じられるのは楽しく、とても幸せです。無給にこそなりますが、自分の時間は多少なりとも確保できます。料理をはじめとした家事スキルのレベルアップも可能です。自分の選択は全く間違ってなかったとの思いを、日に日に強く確信しています。まだ聞き慣れない「駐夫」という存在ですが、状況が許すなら、一人でも多くの男性が続いてくれるといいなと思っています

 妻の任期は2年が目安とされていますが、こればかりは今後どうなるか分かりません。延びることもあり得ます。一方で、私の休職期間は3年がリミットです。妻の赴任が3年を超えそうな場合、どうするのか。その時点で、私は47歳。就労年齢が上昇している日本では、まだまだ若輩者の部類でしょうし、そんなに心配する必要はないのかもしれません。

 ただ、働いていないことからくる焦りや自己嫌悪、今後のキャリア形成への不透明感は、日々楽しく過ごしていても、常に頭のどこかにあります。ブランクが何年になるか分かりませんが、元通り働けるのかとの不安がないと言えば、嘘になります。今はあえて、あまり先のことを難しく、深く考えないようにしていますが、いずれ、夫婦間でじっくり話し合わなければいけないときが間違いなく訪れます。そのときは、バトルになりかねないでしょう。

 そんな「主夫&駐夫」の私が、主夫暮らしや、共働き、子育てをめぐる事情などについて、米国で感じたことを次回から報告したいと思います。

(文・写真提供/小西一禎)

小西 一禎(こにし・かずよし)
小西 一禎(こにし・かずよし)

1972年生まれ。5歳の長女、3歳の長男の父。昨年12月より、製薬会社勤務の妻の転勤に伴い、家族全員で米国に転居。NYマンハッタンのハドソン川対岸で、日本からの駐在員が数多く住むニュージャージー州に在住。1996年慶應義塾大学商学部卒業後、共同通信社入社。熊本、福岡、静岡での記者勤務を経て、2005年より東京本社政治部記者。小泉純一郎元首相の番記者を皮切りに、首相官邸や自民党、外務省、国会などを担当。2015年、米国政府が招聘する「インターナショナル・ビジター・リーダーシップ・プログラム」(IVLP)に参加。会社の「配偶者海外転勤同行休職制度」を男子として初めて活用し休職、現在主夫。2月から福井新聞で「政治記者から主夫へ 米ニュージャージー便り」を連載中。ブログ(http://americalife.hatenadiary.com/)では、駐妻をもじって、駐夫(ちゅうおっと)と名乗る。