私の家事モチベーションを支えてくれるものは

 日本男子の中には、家事が上手にできない自分に嫌気が差し、妻からのダメ出しがトラウマになっている人もいるのではないでしょうか。私もそうでした。まだ子どもが生まれる前の週末、気が向いて料理を作った時はなかなか悲惨な状況でした。「火が強いから焦げる。中火でいい」だの「野菜や肉のサイズをもう少し小さく」と横から言われた揚げ句、肉じゃがは真っ黒、酢豚の野菜は巨大で、鶏肉とカシューナッツいためは焦げ焦げになりました。妻は食べてくれたと記憶していますが、さすがに落ち込みました。

自宅近くの公園で開かれたイースターのエッグハントで、走り回る子どもたち
自宅近くの公園で開かれたイースターのエッグハントで、走り回る子どもたち

 私の小中学校時代、男子の家庭科の授業は女子よりも少なかったこともあり、最初はできなくても当たり前だと思います。世のママたち、奥様方は、そんな男子に対して、家庭科の先生になったつもりで、時には褒めておだてながら、根気よく接してもらえたら、同じ男として私も救われます

 今の私の家事モチベーションを支えてくれているもの、それは「子ども」です。渡米当初は大変でしたが、次第に食事の味が安定し、要領よく作れるようになりました。自由自在に多少なりとも作れるようになったからこそ、手抜きができるようになりました。最初は、それこそ一生懸命に作っていましたので、手抜きなどあろうはずがありませんでした。子どもたちがおいしそうに食べてくれて、社交辞令抜きで「おいしい、おかわり」と言ってくれると、子どもから認められたような心境になります。子どものために家事をしているとの意識を持って、毎日を過ごしています。子どもたちが、笑顔で心身ともに健康に育ってくれていることが、私の家事への意欲、やる気を生み出してくれているといっても過言ではありません。

文・写真提供/小西一禎

小西 一禎(こにし・かずよし)
小西 一禎(こにし・かずよし)

1972年生まれ。6歳の長女、4歳の長男の父。埼玉県出身。2017年12月より、製薬会社勤務の妻の転勤に伴い、家族全員で米国に転居。NYマンハッタンのハドソン川対岸で、日本からの駐在員が数多く住むニュージャージー州に在住。1996年慶應義塾大学商学部卒業後、共同通信社入社。熊本、福岡、静岡での記者勤務を経て、2005年より東京本社政治部記者。小泉純一郎元首相の番記者を皮切りに、首相官邸や自民党、外務省、国会などを担当。2015年、米国政府が招聘する「インターナショナル・ビジター・リーダーシップ・プログラム」(IVLP)に参加。会社の「配偶者海外転勤同行休職制度」を男子として初めて活用し休職、現在主夫。福井新聞で「政治記者から主夫へ 米ニュージャージー便り」を連載中。ブログ(https://www.chu-otto.com/)では、駐妻をもじって、駐夫(ちゅうおっと)と名乗る。