海外に転勤した夫についていく妻は、ちまたでは「海外駐在員の妻=駐妻(ちゅうづま)」と呼ばれます。では、妻の転勤についていった夫は「駐夫(ちゅうおっと)」――? 共働きであれば、いつ起きるか分からないのがパートナーの転勤です。妻の米国への転勤を機に会社を休職し、自ら「駐夫」になることを選択した大手メディアの政治記者、小西一禎さん。そんな小西さんが、米国NYで駐夫&主夫生活を送りながら、日本の共働きや子育てにまつわる、あれやこれやについて考える連載です。

今回は「駐夫には向いてるけど、主夫には向いてない?」「妻がどんどん強くなっていく」「男の嫉妬ほど厄介なものはない」などについてお届けします。

「誰にも褒められない…」という気持ちがよく分かる

 2月のある休日の朝、なかなか起きられず、ベッドでウダウダしている私のもとに、妻が突然「面白いから、ちょっと読んでみて」と、占いが印刷された紙を見せに来ました。もともと、星座にしても血液型にしても、占いなど信じたことはありません。

 「パパは、駐夫には向いてるけど、主夫には向いてないのかもね」。妻は私にそう一言だけ伝えた後、階下の子どもの元に戻って行きました。しばし考える私。駐夫と主夫は何が違うのか。彼女は何を言いたかったのだろうか。紙を眺めてみると、こんなことが書かれていました。

 「みんなの中に埋もれてしまうような目立たない所では、ぼんやりして、すべてに興味を失ってしまうかもしれない」だの「自分を表現するという要素が入っていると、その活動を心から楽しむことができる」、さらには「何か新しいことへの挑戦や、新たな分野を開拓することに意欲を燃やす」……。まさかの占いで、痛いところを突かれました。その流れで、渡米後1年強の出来事や感情をあれこれ振り返っていると、再び睡魔に襲われ、昼まで惰眠をむさぼりました。

 駐夫って何だろう、主夫って何だろう。漢字を見ると、いずれも共通しているのは「夫」です。夫婦関係について、何かを言いたかったのだろうと察しがつきました。

 後日、妻に真相を尋ねたところ、出てきた言葉の数々は、まさに占い通りの内容でした。「『サポートする』と言っているけど、本音では、人を支えるのが嫌でしょ」「まだ珍しい駐夫としての承認欲求が強く、外に発信することで社会的評価を求めているんじゃないの」。ぐうの音も出ません。

 誤解を恐れずに言えば、今の生活にやや飽きが生じているのは事実です。育児と家事が中心で、毎日、毎週、毎月が過ぎていく。世の奥様方が漏らす「誰にも褒められない」という思いがよく分かります。マイナス15度程度まで冷え込む米国・東海岸の気候も相まって、外出がおっくうになっています。どことなく鬱積した気持ちにも包まれ、ブログの更新も滞り、引き籠もりがちな日々が続いています。

夫婦間バトルが増えているワケ

 お恥ずかしい話ですが、昨秋ごろから夫婦間バトルが増えています。バトルというと、聞こえが悪いので、本音でぶつかり合う機会と言い換えましょうか。子どもの教育方針や双方のキャリア形成、家事の分担や次の旅行の計画。慣れ親しんだ日本で暮らしていた時と比べ、異国で暮らしていると、話し合わなければいけないこと、次々と決めなければいけないことが圧倒的に多くなりました。

自宅庭で、雪かきを手伝う子どもたち