人と関わる場に積極的に子どもを連れ出す

―― 保育園で子どもが友達とケンカをしたり、友達から嫌なことをされた、言われたなどと訴えたりしても、親はいちいち心配したり、目くじらを立てたりせず、温かく見守るということでしょうか?

小崎 ぜひそうしたスタンスでいてほしいですね。あと、親が週末に、子どもとどう過ごすかも大きいと思います。

―― というと?

小崎 テーマパークやイベントなどに家族だけで出掛けて、親子で楽しい思い出を作るのも悪くはありませんが、それだけでは、子どもの社会性は育まれません。最近は子育て支援の場であったり、サークル的な活動をする場など、親も子どもたちもどんどん関わっていける場が増えてきました。そうした場所に子どもを連れ出し、積極的に他の子と関わらせてあげてください。よその家族と一緒に出掛けるのもいいですね。

 特に一人っ子の親は、「きょうだいがいないと、我慢する経験がないから子どもがワガママになるんじゃないか」とか「コミュニケーション力が低くなるんじゃないか」などと心配することが多いのですが、人と関われるところに積極的に連れ出してあげるだけで、十分フォローできます。

―― わが家も一人っ子なので、それを聞いてちょっと安心しました。

小崎 人との関係性を学ぶ上で、きょうだいがいるかどうかよりも大切なのは、多様な人が存在する環境の中で、親の価値観に触れることだと私は思います。例えば、昔は近所に親戚がたくさん住んでいて、なかには理屈の通らないことを言ったりしたりするおじさんがたくさんいたわけです。何だかいつも晩ご飯の時間になるとやって来る人もいて、「このおじさん、何でいつも、うちでご飯食べているんだろう?」と不思議に思ったこともあります(笑)。そういう人に限って口うるさかったりして、「もう、かなわんなぁ」って思いながらも、親がなぜだかそのおじさんを受け入れているから、自分も受け入れたり、反面教師にしたりと、いろいろなことを学んでいきました。

 いろんな人と触れ合い、さまざまな価値観に接すると、子どもは次第にそれを取捨選択できるようになっていきます。逆に、子どもを取り巻く環境が均質的で、居心地が良すぎると、多様な価値観に触れることはできません。子どもたちが人との関わりを学びながら育つ環境としては、ものすごく脆弱と言えるでしょう。ならばどうするか。そこが親の考えどころだと思います。