保育園では年少・年中・年長となる3~5歳児。親からすれば、乳児から幼児へと移り変わる時期でもありつつ、小学校入学を意識しながら子育てをしていく時期です。一方、日本の教育は過渡期にあって、これからどんどん教育改革が行われていく状況のなかで、3~5歳児を子育て中の親は、どのような子育てをしていけばいいのでしょうか? 保育士として12年間、保育に携わってきた大阪教育大学准教授の小崎恭弘さんに、これからの子育てや教育について話をお伺いしました。

正しい“子ども観”を身に付ける

―― 前回、子ども一人ひとりを見てあげることの大切さについてお伺いしましたが、経験が浅ければ浅いほど、子育てについて何がスタンダードなのか分からないので、悩むことが多いと思います。

小崎恭弘さん(以下、敬称略) 最近は、新米パパが子どもと一緒になって遊ぶためのプログラムやイベントを開催すると、50組くらいの父子が参加します。そのプログラムのなかで、父子で一緒に遊んで盛り上がってきたところで、私が出ていって「ちょっとおっちゃんとも遊んでくれる?」と言う。すると、何人かの子どもが寄ってきてくれる。一緒に遊んだ後に、その子どものパパに「この子は舞台度胸のある子ですよ!」と声をかけています。

 私が一緒に遊んでと誘ってみても、多くの子どもは嫌がります。けれども、呼ぶと来てくれる子どもというのは、初めての人との関わりがスムーズにできて、たくさんの知らない人がいるなかでも前に出ていける度胸を持っている。こういうことは、他の子どもと比べて初めて分かることです。

 子どもの個性というのは、集団のなかで発揮されるからこそ、個性であるといえるのです。わが子をいろんな場面に連れていって、他の子どもたちとの関わりのなかで「ウチの子ってこうだな」といったことが初めて見えてくるものだといえます。

 パパと遊んでいる姿を見ているだけでも、運動能力の高い子どもは、すぐに分かります。カラダのキレがあるとか、バネがあるとか、比べて眺めると分かるようになります。運動能力があると分かったのであれば、何か好きなスポーツを見つけ、その才能を育ててあげるといったことができます。

―― 集団のなかで過ごすわが子を見ることが大事ということでしょうか?