保育園では年少・年中・年長となる3~5歳児。親からすれば、乳児から幼児へと移り変わる時期でもありつつ、小学校入学を意識しながら子育てをしていく時期でもあります。一方、日本の教育は過渡期にあり、これから教育改革がどんどん進められていく状況のなかで、3~5歳児を育てている最中の親は、今、子育てで何を心がけてしていけばいいのでしょうか? 保育士として12年間、保育に携わってきた大阪教育大学准教授の小崎恭弘さんに、これからの子育てや教育について語っていただく本連載。第9回目の今回は、3~5歳の時期の子どもの素晴らしさを改めて定義していただくと同時に、「生きる練習」をしているわが子に親がどう関わっていくべきか、アドバイスをいただきました。

「子どもの能力はこんなもの」と決め付けない

編集部(以下、――) 前回の記事では、3~5歳の子どもの非認知能力を伸ばすために「とにかくむっちゃ遊ばせることだけ意識する」「子どもが子どもらしく過ごす時間を大切にする」といったアドバイスをいただきました。これを子育ての大方針として据えつつ、実践のポイントがありましたらぜひ教えてください。

小崎恭弘さん(以下、敬称略) 大きなポイントとして二つあります。一つは、「子どもというものを理解する」。もう一つが、「子どもの個性を理解する」です。実は子どもとは「こういうもの」というある種のパターンが、成長過程において決まっています。子どもの発達段階において、発達の方向性や発達する場所が決まっているということです。

 「這えば立て。立てば歩めの親心」という言葉が示す通り、「ハイハイ」→「立つ」→「歩く」という順番はどの子も同じ。共通の発達パターンに照らし合わせ、親は「今、わが子はどこの段階にあるのか」をしっかり理解してあげてほしいですね。そうした共通のパターンがあることを意識しておかないと、子どもを変に大人扱いしたりして無理を強いてしまうことになりかねません

 ただ、矛盾するようですが、共通のパターンにとらわれすぎて、「子どもってこんなもの」と決めつけてしまうのもよくありません。

―― どういうことでしょうか?