窮屈な子育てにならないようにするために

―― 子育て中の親と接するなかで、小崎さんはどのようなことを感じていらっしゃいますか?

小崎 3歳くらいの子どもを育てているママなどは、育児経験がまだ浅いわけですが、女の子の育児に関しては同性ですから、あまり困らないわけです。しかし、男の子の育児となると、困惑するママが圧倒的に多い。最近、ママたちの話を聞いていくなかで、特に気になるのが「おとなしい男子」についての悩み。男の子っぽくない男子が増えていて、それについて悩むママが非常に増えています。

 「ウチの子は覇気がない」とか、「何かモノを取られても取り返そうとしない」「優し過ぎる」などなど……。なぜ、そうなってしまっているのかと言えば、今の日本社会の男子のイメージに沿わない男子を育てているので、社会のなかで求められている男の子像・女の子像を意識し過ぎてしまうようになるわけです。ちょっと他の子と違って男子っぽくないと不安に思ってしまい、窮屈な子育てをするようになってしまいがちだと思います。

 それとともに、子どもの成長・発達においてきょうだい関係が大きく影響を与えるということも忘れないでください。分かりやすく言いますと、「アニキ分」とか、「姐御肌」と言われる性格の分類があるじゃないですか。他にも「長女気質」「長男気質」「弟気質」「妹気質」といった感じで、ある意味、キャラ付けされてしまう部分があって、その後の人生に与える影響も大きかったりします。

 長男として育った男の子はアニキ分であったり親分肌で面倒見が良かったりという良い面があるけれど、一方で自分が中心じゃないと嫌だとか、権力を行使したがるといった悪い面もあります。そういう意味では、子育てをしていくうえで常に多様な角度から捉えた価値観で考えていくことが大事であると思います。

 年齢や性別、きょうだい関係など、いろんな視点で、その子どものキャラクターは決まります。そこを理解したうえで、親は固定的なイメージに縛られないよう注意しつつ、さらに、親の思いだけで育てていかないようにしたほうがいいでしょう。男の子だからって、みんなが世間の男子のイメージ通りに元気に育つわけでもないですし、女の子だからってみんな世間の女子のイメージ通りにおとなしく育つわけでもありません。最も大事なことは、その子ども一人ひとりの個性をきちんと見てあげるということですね。

(取材・文/國尾一樹、写真/鈴木愛子)