男の子、女の子の違いは?

―― 子どもの成長・発達について、同じ3~5歳の子どもで男の子と女の子で違いはありますか?

小崎 もちろん、男女差はあります。前提として、男の子、女の子と区別する必要性はないとは思いますが、全く同じかと言えば、決してそうではありません。例えば、リスクマネジメントの観点から保育所などではケガに関する研究なども盛んに行われていますが、ケガをする子どもの統計を見てみると、6~7割が男の子。やはり、男の子のほうがケガをするリスクが高いという結果になっています。

 なぜかと言えば、男の子のほうが衝動性が高いからです。男の子の特徴と言えば、よく言われるのが「口が遅い」というもの。発語に関しては、一般的に女の子のほうが早く、男の子は遅い。言語による豊かなコミュニケーション能力を持っている女の子の場合は、問題ありません。一方で、男の子もコミュニケーションしたくてもうまく口が使えない。うまく表現できないとなったときに、“身体優位”を使ってしまいがちです。モノを奪う、相手をひっかく、押す、かむといったことになるわけです。

 見方によっては、「乱暴な子」であるとか「困った子」ということになりますが、コミュニケーションという意味では、彼らなりに一番、使いやすい方法であるといえます。だからこそ、どうしても男の子のほうがケガをしやすい。そういった違いがあることを理解してあげながら子育てをしていくということも大事なことだと思います。

―― 子どもの成長・発達について、他にも男の子と女の子の違いについて知っておくべきことはありますか?

小崎 男女の特徴ということで言えば、男性は序列という価値観のなかで生きているという部分は大きな違いだと思います。簡単に言ってしまえば、「アイツより上か下か」ということ。とにかく、男性は競ったり負けたりするのが嫌で、どうしても本能的な部分で意識し合います。子どものころから、立ち小便をしたらどっちがオシッコを遠くまで飛ばせるかと、無意味な争いでムキになったりもします(笑)。とにかく、何でも無意味に戦う。それは、なぜかと言えば、何に関しても負けるのが嫌だからです。

 一方、女性の最大の特徴というのは、共感性でしょう。いかに周りの人とうまくやっていくのかといったことを考える。これは、男性とは正反対の思考的特徴といえます。この違いを私は「体積の違い」と、説明しています。男の子は「狭く深く」思考をする。つまり、男の子は全員、オタクなんです。女の子の思考はその逆で、「広く浅く」というのが一般的です。

 嗜好の部分でも傾向として違いはあります。男の子は電車や虫が大好きになったりすることが多い。もちろん、なかにはそういうのが好きになる女の子もいますが、多くの女の子は他のことに興味を持ちます。どっちがいい、悪いということではありませんが、男女差の特徴というのは知っておくといいでしょう。ただ、保育の現場ではこのような違いに関して男女を分けて保育するといった環境をわざわざ用意するようなことはありません。

男の子は「狭く深く」、女の子は「広く浅く」思考する傾向がある
男の子は「狭く深く」、女の子は「広く浅く」思考する傾向がある