保育園では年少・年中・年長となる3〜5歳児。乳児から幼児へと移り変わる中で、小学校入学を意識しながら子育てをしていく時期に当たります。日本の教育は過渡期にあり、これから教育改革がどんどん進められていく状況です。そんな時代の変革の最中に、変化の大きい3〜5歳児を育てている親は、何を心掛けていけばいいのでしょうか? 保育士として12年間、保育に携わってきた大阪教育大学准教授の小崎恭弘さんに、3〜5歳児の子育てや教育について語っていただく本連載。最終回となる今回は、コロナ禍で外出自粛が続く今、親が心掛けたい「おうち遊びの環境整備」などについて伺いました。

心は折れてもいい。折れても立ち向かっていけることが大事

DUAL編集部(以下、――) 前回記事「子がコケた時に親がすべきは助け起こすことではない」では、「折れない心=レジリエンス」を育む上で、過度に危険を避けることがマイナスになることなどについて伺いました。コロナ後の社会的混乱が予想される今、つらいことがあっても心が折れない子どもに育てたいと思っている親は、さらに増えているように思います。

小崎恭弘さん(以下、敬称略) 先行き不透明なこれからの時代は、答えが分からないことだらけです。今まで正解だったことが不正解になっていくわけですから、失敗も生まれやすくなります。そのときに「そこでおしまい」となってしまうと先に進めません。そうではなく、別の方法はないかと探したり、これまでの常識を疑ってスキーム自体を変えたりすることも大事になってくるでしょう。何かうまくいかなかったことで「もうおしまい」と思ってしまうと、次の景色を見ることはできません。「生きるしぶとさ」みたいなものがますます必要になってきますから、レジリエンスは今後ますます重要視されていくでしょうね。

 心は折れてもいいんです。ただ、心が折れておしまいではなく、折れても立ち向かっていけることが大事。そのことを学ぶチャンスは、実は遊びの中にもあるんです。

 身近な遊びの例で言えば、積み木が分かりやすいと思います。積み木って失敗を許される遊びですよね。高く積んでいくとガシャっと崩れるけれど、また積んでいけるのが積み木の楽しさであり、醍醐味でもあります。

 ただ、そうした単純作業の繰り返しに価値を見いだせない親は、「ほらまた崩れた。もっと上手に積まないとね」と言ってしまったり、「ついでに数字の勉強もさせよう」などと下心を出し、「積み木の数を数えてごらん」などと余計なことを言ってしまうのですが(笑)、大切なのは「夢中で積んでいく経験・体験」を何度もさせること。その積み重ねにより、自分に自信が持てるようになり、「失敗してもまたやり直したらいいんだ」という感覚が身に付いていくようになるわけです。