「家訓」のススメ

小崎 その流れで、私がオススメしたいのは、それぞれの家庭で家訓を作るということです。親が一番大事にしていて、子どもに伝えたいと考えている価値観を短い言葉に表したものを家訓にするんです。

 わが家には三つ家訓があります。一つ目は、「無事之名馬(ぶじこれめいば)」です。競走馬を指して、「能力が多少劣っていても、怪我なく無事に走り続ける馬は名馬である」とする考え方の格言なのですが、「健康が何より一番大事だよ」というメッセージでもあります。

 もう一つの家訓は「親の意見となすの花は千に一つも無駄はない」というもの。なすは花が咲くと必ず実をつけることから、「親の忠告には何一つ無駄がない」という例えです。だから、息子たちには「親のことをうるさいと思っているかもしれないけれど、いちおう、お前らのことを思って言っているんだから、ちゃんと聞いておいたほうがええぞ!」と、幼い頃からずっと言い続けています(笑)。

 最後の家訓は「ウソは突き通せ」です。これは、社会的には良くないことかもしれませんが、ウソの上にウソを塗り固めていくことはとてもしんどいことです。それでも、一旦、ウソをついてしまったのであれば、最後まで突き通さなければならない。その覚悟がないなら、最初からウソはつかないほうがいいよ、という意味を込めています。

 こんなかんじで妻と共に家訓を作った、という話を、知り合いの教授にしたら、「ウチにもある」と言うんです。聞いてみたら「漁夫の利」なんだそうです……(笑)。「最低な家やなあ!」ってお互いに爆笑したのですが、漁夫の利は無視していただいて(笑)、楽しく家訓を作ってみるのはどうでしょうか?

 親が大事にしているものは何なのかということを夫婦で話し合って、シッカリと子どもに伝えていってほしいですよね。それができれば、子どもを叱るときにもブレてしまうことが少なくなるはずです。肩肘張らず、夫婦で楽しく考えてみることをオススメしたいと思います。

取材・文/國尾一樹、イメージ写真/鈴木愛子