「ならぬことはならぬ」と言い切っていい

小崎 子育てというのは日常のことだから、つい感情が出てしまうことがあっても仕方がありません。その代わり、子どもにカッとなり、怒ってしまって悪かったと思うのであれば、後でちゃんと謝ればいいんですよ。

 多くの親は、なかなか子どもに謝ることができません。なぜなら、子どもには負けてはいけないという気持ちがあるからです。でも、時には負けたっていいじゃないですか。悪かったと反省したのであれば、素直に謝ればいい。そんなことも日常のなかにあって問題ないですし、一度、怒っただけで親子関係が崩れてしまうといった脆弱なものではないはずです。

―― 他に子どもを叱るときに気を付けたほうがいいことはありますか?

小崎 最近、気になっているのが、「説得するように叱る親が増えている」こと。「コレしたら○○でしょ? 分かった? だから、○○○しようね」といった感じで、「そこまで丁寧に説明しようとせんでも」と、横で聞いていて、疑問に感じることが多いんですよね。

 かつて会津藩士たちが子どもの頃に必ず教えられていた「什(じゅう)の掟」というものがあります。その中には、「弱い者をいじめてはならない」とか「卑怯な振る舞いをしてはならない」など、朱子学を基本とした“やってはいけないこと”がいくつか書いてあるのですが、最後に「ならぬことはならぬのです」と念を押しています。「子どもであっても、やっていけないことはある」ということを強調して終わっています。

 例えば、子どもが友達とケンカして、相手をたたいてしまったことを叱るという場面があるとします。子どもから「たたくのはどうしていけないの?」と聞かれて、子どもが理解できるようにうまく説明ができなかったとしても、「いけないことはいけないの!」と言い切ってしまえばいいと僕は思います。子どもを説得できなければ、叱ってはいけない、などと思う必要はない。叱る際には、子どもに迎合し過ぎないことも大事なポイントです。

―― それだと、「親の考えを押し付ける」ことにならないか心配になりますが…。

小崎 それでいいのではないでしょうか。誤解を恐れずに言うと、私は、子育てというのはある意味、「親の価値観を押し付けること」だと思っています。皆さんも子どもの頃、自分の親から考え方を押し付けられてきたはず。とはいえ、すべてを間に受けて、自分の考え方として取り入れた訳ではありませんよね。自分の子どもも同じです。あなたがどんな考えを押し付けようと、子どもがそれをすべて真に受ける訳ではありません。安心して、「パパはコレはダメだと思う」とか、「ママはこうしたほうがいいと思う」と言っていいと思いますよ。