「3つの要件」が満たされていなければ叱ってはいけない

(1)親子の良好な関係性が保たれている
(2)叱る言葉にメッセージが込められている
(3)ゴールが設定できている

 (1)に関して言えば、例えば、親である皆さんが職場で上司から説教されてしまったときのことを考えてみればいいでしょう。例えば、何の信頼関係もない、隣の部署の部長から叱られたとなれば、誰だって「なんでお前に叱られんとあかんねん!」ってなりますよね? つまり、人を叱るときというのは、叱る側と叱られる側に良好な関係性が保たれていなければ、無意味どころか逆効果になりかねません

 親が子どもを叱るときも同じです。特にパパにありがちなのですが、ママほど子どもとの信頼関係がないのに、ママに頼まれて叱ってみたところ、「パパ大嫌い! あっち行って!」と言われ、逆効果になってしまうというのはよくあるパターンです。叱るには、まずは大前提として子どもとの信頼関係を普段から築いておかなければならないことを忘れないようにしましょう。

 その上で、叱る内容にちゃんとメッセージが込められていて、ゴールも設定されていることが大事です。例えば、「ちゃんとご飯を食べなさい」と叱るときには、「きちんと栄養を摂って、病気をしない体になってほしい」というメッセージが込められ、「食べたらそれでいい」というゴールが設定できているので、(2)と(3)の要件が成立しています。

 ちなみに、ゴールを設定した以上は、子どもがそれを達成したら、それ以上叱ってはいけません。叱られた子どもがご飯を食べたら、それ以上、何かネチネチと言ってはいけないのです。

 もう一つ、お伝えしたいのは、「叱る」と「怒る」は違うということ。先ほどお伝えした3つの要件が満たされていれば、「叱る」という行為が成立しますが、単に子どもに気にくわないことがあり、何のメッセージも込めず、ゴールも設定せずに、ただ感情を爆発させるのは「怒る」という行為でしかありません。親が自分の怒りや悲しみを発散しているにすぎないのです。

 もっとカンタンに言えば、「子どものためにする」のが叱るという行為で、「自分のためにする」のが怒るという行為であると思います。こう言うと、「そんなことは分かっている」と思う親も多いと思いますが、怒らないようにするのはけっこう難しいことです。自分は今、叱っているのか、怒っているのか。ひと呼吸置いてから、冷静にチェックするように心掛けたほうがいいでしょう。その時の気分だけで怒ってしまうと、子どもは戸惑います。結局、叱り方や褒め方をどうするかというのは、それぞれの家族の中でのコミュニケーションのあり方の問題だと言えます。

親のコミュニケーション能力が子どもに大きな影響を与える

―― 叱るのも褒めるのも、コミュニケーションなのですね!

小崎 その通りです。親のコミュニケーション能力はものすごく子どもに影響を与えていますね。親の皆さんは、ぜひそのことを意識して、丁寧に子どもと関わっていただきたいと思います。

―― 頭では理解できました。でも、やはり多くの親はついつい感情的になって怒ってしまうということが多かれ少なかれあるかと思います。それで親子の信頼関係が崩れてしまうこともあるのでしょうか。