保育園では年少・年中・年長となる3~5歳児。乳児から幼児へと移り変わる中で、小学校入学を意識しながら子育てをしていく時期に当たります。日本の教育は過渡期にあり、これから教育改革がどんどん進められていく状況です。そんな時代の変革の最中に、変化の大きい3~5歳児を育てている親は、何を心掛けていけばいいのでしょうか? 保育士として12年間、保育に携わってきた大阪教育大学准教授の小崎恭弘さんに、3~5歳児の子育てや教育について語っていただく本連載。今回は、ダメージを受けても何度でもやり直せる「折れない心」=レジリエンスを育むために親ができることは何なのか、アドバイスをいただきました。

温室育ちの子どもたちはコケるのもヘタ

編集部(以下、――) 前回記事「ケンカが少ない保育園」で、「ネガティブな小さな経験をたくさん積ませてあげることが、将来を生き抜く子どもの力になる」という話をしていただいたところ、1500を超えるいいね!がつき、多くの読者に共感してもらえました。

小崎恭弘さん(以下、敬称略) ダメージを受けてもそれを乗り越えられる力、つまり、「折れない心」=レジリエンスを子どもに身に付けさせなければいけない、と理解している方がそれだけ多いということなのでしょうね。

 レジリエンスは非認知の力の一つで、最近重視されるようになった概念のように思われるかもしれませんが、実はこれまでも、保育や教育の現場では「生きていく力」とか、人としての「生きる姿勢」などと表現し、大事にしてきました。

 私が保育園などでリスクマネジメントに関する講演をする際に、よく話に出すのは、「最近の子どもはコケるのがヘタ」ということです。保育園内で5000円以上の治療費がかかったケースの7割が首から上、つまり、顔のケガだった、というデータがあります。一番多いのは目と歯。顔をケガするのは、コケたときにうまく手を突くことができていないということ。今の子どもたちはコケる経験・体験が少ないから、コケる練習ができていないのです。

写真はイメージ
写真はイメージ

 先日、話題になっている、ある幼稚園を視察させてもらったのですが、園舎の真ん中にある楕円形の芝生スペースを、あえてデコボコにしてありました。子どもがつまずいて転びやすくしてあり、コケる経験・体験をさせるのが狙いです。

 そこまで工夫しないといけないくらい、最近の子どもたちはコケる経験・体験が少ないのです。危ないから走らせないし、そもそも危ないところに行かせない。徹底的に危険を排除する社会環境や育て方をするといった思考が、保育や教育の現場、親の意識においてとても強いのではないかと思います。一言で言えば、今の子どもたちは「温室育ち」ということです。

次ページから読める内容

  • 「消極的安全」では子どもの安全は確保できない
  • 「あ、転びそう」と思っても放っておく
  • 再挑戦し、次に勝つなら、それは「負け」ではない

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