「あ、転びそう」と思っても放っておく

―― 具体的に親が意識すべきことはありますか?

小崎 「うまくコケさせてあげる」ことを意識していただきたいですね。例えば、子どもが自転車の練習をしているとき。転んでも大丈夫そうな場所であれば、「あっ転びそう」と思ってもあえて放っておく。すると、子どもは案の定、コケますよね。そこで大事なのは助け起こしてあげることではなく、「大丈夫、大丈夫、次はうまくできるから。さっ、立ち上がってごらん」と声をかけてあげることなんです。失敗しても何度でもチャレンジできるんだということを、伝えてあげてほしいですね。

 失敗しやすいけど、成功したときの達成感が大きいものとして、「光る泥ダンゴ」作りを取り入れることなどもお勧めです。ご存じですか? 光る泥ダンゴ。泥でおだんごを作り、乾いた土をまぶして形を整え、乾燥させた後に布でよく磨いていくと、表面がキレイに光ってくる、というものです。保育園でも子どもたちに非常に人気で、多くの子どもが長時間夢中になって取り組む遊びの一つなのですが、途中で割れやすく、完成させるまでのハードルが高めです。

 途中で割れてしまうと、当然ながら、子どもたちは涙を流して悔しがります。でも、「もう1回、頑張ってやってみよう」と大人が背中を押してあげると、子どもは心機一転、再チャレンジします。失敗経験を乗り越えて無事、完成したときの喜びはひとしおです。そういう経験を積み重ねることで、子どもたちは自信を持ったり、「次は失敗しないようにしよう」と工夫したり、次にまた頑張ればいいんだということを学んでいくのです。

再挑戦し、次に勝つなら、それは「負け」ではない

 実は、私はレジリエンスのことを「負けない力」と呼んでいます。ここで言う「負けない」は、勝負のことではありません。人は人生において勝ち続けていくことなんてできません。絶対にどこかで負けることもあるはずです。ただ、負けても再挑戦し、次に勝つなら、それは「負け」ではありません。大切なのは、負けたことをポジティブに受け止めて切り替えていく力。自分自身で次に向かっていく力と言ってもいいかもしれません。

取材・文/國尾一樹 イメージ写真/PIXTA