小学生になった子どもを連れて、筆者家族は昨年夏、ロンドンから鉄道で2時間半ほどとアクセスの良いウェールズの旅を楽しみました。ウェールズは独自の言語・文化を持ち、同じ英国内にありながらイングランドとは一味違う空気が流れる場所。子どもと一緒に“多様性”を体感するのにぴったりの旅先リポート「下」編をお届けします。

■「上」編/小学生になった子どもとの海外旅行は「多様性」体験

“石炭ミュージアム”のリアル体験で衝撃

 帰国後、娘に「ウェールズでもう一度、行きたいところある?」と尋ねるたびに、即答で彼女が答えるのが「ビッグ・ピット!」(Big Pit National Coal Museum of Wales)。1880年から100年の間、実際に使われていた南ウェールズの炭鉱で、Big Pitは“大きな穴”、つまり炭鉱を指す。英国の産業革命に大きく貢献した石炭を知るいい機会かも、という軽い動機で出かけたが、これがとんでもなくインパクトの強い場所だった

<a href="https://museum.wales/bigpit">Big Pit国立石炭ミュージアム</a>。元・炭鉱をそのまま公開したミュージアムには独特の迫力がある
Big Pit国立石炭ミュージアム。元・炭鉱をそのまま公開したミュージアムには独特の迫力がある

 “Underground Tour”が人気、という口コミを見て事前に問い合わせると「予約はできません。先着順で、希望者が多いときには早めに受付を終了します」とのこと。昼過ぎに到着したところ、すでに「受付終了」の看板が立っていたが、念のため聞いてみると「3人だったらちょうど、枠が空いたよ」とのこと。何でも聞いてみるものだ。

 待合室へと進むと、そこはディズニーランド?!と錯覚しそうなほどの混みよう。30分ほど待って呼ばれ、万一着火すれば、大爆発が起こるため、スマホはもちろん、カメラや腕時計など電池入りのアイテム一切を預け、ライト付きのヘルメット、バッテリー付きのベルトを装着。実際の炭鉱夫と同じ5キロの装備に身が引き締まるが、子どものほうは大人と同じ装備が嬉しそう。10名程度のグループに分かれ、私たちは元・坑夫のガイドの引率のもと、がっしりとした檻のようなエレベーターで300ヤード(91メートル程度)地下の坑道へと潜った。

人気のUnderground Tourでは、子どもも大人と同じ、5キロの装備。坑道は季節を問わずひんやりとしており、ダウンジャケットを着こんで臨む家族連れもいた
人気のUnderground Tourでは、子どもも大人と同じ、5キロの装備。坑道は季節を問わずひんやりとしており、ダウンジャケットを着こんで臨む家族連れもいた