異文化体験ができ、家族の絆も深まる海外親子旅行。毎夏、夫婦でがっつり休みを取って英国で3~4週間を過ごしてきた筆者家族は、子どもが3歳までは中世の風景が残る田園地帯で一軒家を借りる「滞在型の旅」を、4~6歳のときは現地のサマー・ホリデイ・クラブに参加する「プチ留学」を楽しみましたが、子どもが小学生になった昨夏は、ケンブリッジでのサマー・ホリデイ・クラブ(過去のレポートはこちら「英国で教会のサマー・ホリデイ・クラブ参加してみた」)に加え、より見聞を広めるべく1週間の観光をプラス。行き先は、ロンドンからのアクセスが良く、大自然と歴史、食が楽しめるウェールズを選びました。
 同じ英国内でありながら、独自の言語・文化を持ち、イングランドとは一味違う空気が流れているウェールズ。子どもが“多様性”を体感する機会にもぴったりな場所で、もし英国に家族で行く機会があれば、おすすめしたい旅先です。子どもが小学生に成長し、少しだけ旅に上級者向け要素を取り入れたいと思っている家庭は、ぜひ参考にしてみてください。

7歳児との親子旅に「ウェールズ」を選んだ

 日本の四国程度の面積を持つウェールズは、ロンドンの西に位置し、首都カーディフまでは、鉄道で2時間半ほど。子連れにも行きやすい距離であると同時に、英国にありながら、古代ケルトの独自文化が色濃く残り、一つの国の中に異なる文化圏が共存する状況を体感できるのが魅力だ

 ちなみに、ケルトとは、紀元前に小アジアからヨーロッパまで広範囲に暮らしていたが、ローマ帝国に駆逐された民族。今もウェールズのほか、フランスのブルターニュ、スコットランド、アイルランド、コーンウォールに独特の文化が残り、ウェールズでは特に固有の言語愛が強い。

 現地に着くと、道路標識や博物館の説明プレートなどはすべて、公用語である英語とウェールズ語の二言語表記。公共放送BBCの幼児チャンネルには、ウェールズ語を教えるコーナーがあり、スーパーに行けばウェールズ語で立ち話をする人々も。“ここホントにイギリス?”と、娘ははじめ、目を丸くしていたが、次第に英語とウェールズ語が共存する状態に慣れていった。

 山地や海のダイナミックな景観は、イングランドのなだらかな田園風景とは一味違うし、結婚前に何度か訪れたときに味わった、素朴だが素材の味が生きた郷土食もぜひ子どもに体験させてみたかった。ウェールズ政府の日本語版HPなどを参照しながら、週末ごとに“行ってみたい場所”を相談。ウェールズ北部から南部へと回るざっくりとした行程表を作り、宿とレンタカーを予約して出かけた。