時に迷い、立ち止まりながらも、自分流の働き方や幸せを模索している働くママたち。今回登場してもらうのは、元看護師で昨年から夫が開業した歯科医院で働くKさん。7歳と5歳の男の子の母親です。看護師として、大学病院の緊張感漂う現場で10年のキャリアを積み出産。その後父のがんが見つかり、退職し献身的に看護をするさなか、地元に戻り歯科医院を開業することになった夫に寄り添い見知らぬ土地へ引っ越したそう。こうした中で、働くことや夫婦関係に関し葛藤をしてきたというKさんに話をしてもらいました。

(上)10カ月で復帰した看護師ママ、入園通知に涙した訳は
(下)父の病気、見知らぬ土地、離婚危機、どん底からの再起 ←今回はココ

◆今回登場するワーママ:Kさん
年齢:39歳
これまでの仕事:看護師→専業主婦となり父を看護→夫の開業する歯科医院で勤務
現職:夫の開業する歯科医院に勤務
住まい:東北地方
子ども:7歳と5歳の息子

◆働き方に迷った理由
夫が開院した歯科医院をサポートしようにも、専門領域違いの看護師である自分の役割が見いだせなかったこと

◆「わたし流」の働き方をかなえるためにした選択
選んだもの…自分軸(人から言われて決めるのではなく自分で人生を決めていく)
諦めたもの…ない

 患者さんに寄り添う看護師として、大学病院のCCU(冠疾患集中治療室)に10年間勤務。32歳で妊娠し、無事に長男を出産。その後、10カ月で職場に復帰をしました。

どこで働くかではなく、どうやって働くかが大事と実感

 復帰後はCCUではなく検査室という、子育て中など働き方に制限がある看護師が配属される職場へ異動になりました。CTやMRIを担当しましたが、CCUと違い仕事に予定が立つので、計画的に仕事もできますし、同僚もママ看護師が多かったので、保育園からお呼び出しがあっても快く送り出してもらえるなど、働きやすい環境でした。

 一方プライベートでは復帰と同時に怒濤(どとう)の日々が始まりました。朝7時半前には家を出て息子を送り、夕方18時には園へ迎えに行き、20時に寝かしつけるという時間に追われる毎日。息子はアトピーだったので毎朝起きるとシャワーを浴びせなくてはなりません。眠かったり、冬場は寒かったりで息子が泣いて嫌がるため、時間通りに準備を進めるのが一苦労でした。当時夫は、家事育児に非協力的で口は出すけど手は出さないというタイプだったため、完全ワンオペでヘトヘトでした。

 そんな私にとって仕事時間は自分らしく過ごすことができる時間でした。造影剤使用に伴う急激な状態悪化時に迅速に対応できたことで、患者さんの状態が改善するなど、かつてCCUで急変時対応をしてきた経験がいかせた時はうれしかったですね。

 暗い顔の患者さんにも「大丈夫ですか?」と声をかけると「実は検査の結果を聞くのが怖くて」とのこと。ひとしきり話を聞くと「検査室で話を聞いてもらえるとは思わなかったよ。ありがとう」と言われたこともありました。

 こうした経験から、どこで働くかではなく、どうやって働くかだ、ということを実感すると同時に、どこにいてもできることを全力でやっていこうと思うようになりました。