今、世の中には子育てに関する情報があふれ、親は何を基準に子どもを育てていけばよいのか悩みます。「でも、子育てで大事なことはたった一つ。それは子どもに自信を持たせてあげることです」、そう話すのは公立小学校で23年間教壇に立ち、たくさんの子どもたちの成長を見てきた教育評論家の親野智可等先生です。

本連載では、そんな親野先生が勧める、親も子もポジティブになれる子育てを紹介していきます。

中学受験をさせないと、将来が心配……?

 首都圏では中学受験が盛んな地域もあります。中学受験をしない選択をしたご家庭や、そもそも私立中高一貫校の数が限られている地方で子育てをしているご家庭は、「うちは大丈夫なのだろうか?」「大学受験で大きく差をつけられるのではないか」と不安に思うかもしれません。

 しかし、静岡県で23年間、公立小学校の教師をしていた私が感じているのは、「中学受験をするほうが、将来的に有利である」という風潮を首都圏にお住まいの親御さんは信じ過ぎているのではないか、ということです。

 誤解しないでいただきたいのですが、私は私立中学の存在意義を否定しているわけではありません。私たちの社会は自由な社会なのですから、独自の教育をする私立中学は当然あってしかるべきです。そして、中学受験がブームだから受験するということではなく、自分が本当に学びたい私立中学があるから受験するということなら、そこを目指して勉強をがんばるのは意義深いことだと思います。

 では、中学受験をしない小学生は……?

写真はイメージです
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