45年以上の歴史を持つ海外短期留学制度など国際理解教育を推進し、「国際性豊かな若き淑女の育成」をめざす富士見丘中学高等学校。海外の中高生との交流も盛んで、日常的に異文化に触れられる環境の下、海外大学をはじめとする多様な進路の実現をサポートしている。一人ひとりの可能性を広げる同校の先進的なグローバル教育について詳しく紹介しよう。

ブリティッシュ・トラッドの新制服
ブリティッシュ・トラッドの新制服

帰国生や留学生の受け入れで“グローバル社会の縮図”に

 同校では「コンピテンシー」を身につけるための環境がそろっている。ここでいう「コンピテンシー」とは、21世紀社会を生き抜く真のグローバル人材として必要な能力や資質のことを指す。

 帰国生入試や海外特別入試(シンガポール・香港・ロンドン・ニューヨーク)も実施する同校は、在籍する帰国生の割合が中高ともに約20%以上。帰国生がもたらす多様性が校風として根付いており、学校自体が“グローバル社会の縮図”となっている。また、海外の交流生や留学生の訪問を年に何度も受け入れ、昨年はアメリカ、タイ、UAE、インドの中高生が同校を訪れた。交流生や留学生がやってくる度に有志の生徒が交流会を企画するため、日本に居ながらにして英語で文化交流ができるのだ。

 全校生徒数が約400名と小規模でありながら、ネイティブ講師は6人在籍。日本人の教員とネイティブ講師が指導目標や授業の内容、進捗状況などを共有しながらカリキュラムを設計する。英会話やオールイングリッシュの特別授業のほか、辞書を使わずにできるだけ多くの洋書を読む「Extensive Reading」など、多種多様なプログラムを用意。始業前と放課後には英文法講座や英検®の対策講座も開講する。また、中2~高2を対象に週1回1コマの「Online Speaking」を導入し、海外在住のネイティブ講師とSkypeによる1対1の会話を通して、実戦的なコミュニケーション力の強化を図る。

 帰国生と英語既修者が対象の「英語特別コース」では、ネイティブ講師による取り出し授業を実施。オールイングリッシュの特別授業を帰国生に週7時間、英語既習者には週4時間行い、海外の中高生と同レベルのカリキュラムで4技能を磨く。TOEFL・IELTSの対策学習を中1から開始し、海外大学への進学も視野に入れた高校の「アドバンストコース」に接続する。

マレーシア・フィールドワークで現地の高校生と別れを惜しむ
マレーシア・フィールドワークで現地の高校生と別れを惜しむ

充実したSGHプログラムで国際人の資質を磨く

 SGH指定校である同校は、グローバルリーダーに求められる課題解決力の養成を目標に掲げる。中高全学年に「スタディスキルアッププログラム」を導入し、対話やディスカッションを土台とする探究活動のほか、教科横断授業やICT機器を用いたグループワークを行い、探求スキルを鍛えている。中1では、「探求学習スキルアップ・ホームルーム」を実施。iPadで情報を共有し、グループで話し合った後、意見を一つにまとめる訓練を重ね、プロジェクトマネジメントの基礎を学ぶ。

 高校から始まる「SGHプログラム」では、地球規模の課題の探究を通じてサステイナビリティー(持続可能性)の視点を養う。慶應義塾大、国立成功大(台湾)、シンガポール経営大などと連携し、大学院生や大学生との長期共同研究に取り組むほか、台湾、シンガポール、マレーシアでのフィールドワーク(高2の選択者)など、グローバルなコミュニケーション力を培う場が豊富に用意されている。生徒自身が長期にわたり研究に携わることによって、大学で学ぶ意欲を高め、進路をみずから切り開いている。

今年3月開催の「SGH甲子園」では2年連続で優秀賞に輝いた
今年3月開催の「SGH甲子園」では2年連続で優秀賞に輝いた

海外へ向かう環境が整備され、幅広い進路を実現

 同校では先進的な国際理解教育を体系化した「グローバルスタディプログラム」を推進。世界の多様な人々と協働するために必要な英語の4技能や国際感覚、自己表現力を総合的に高めている。全員参加の海外修学旅行では、中3がオーストラリア、高2がアメリカ西海岸を訪問。現地の姉妹校で交歓行事や体験授業を通して生徒同士が互いの文化を紹介し合い交流を図るほか、生徒だけで英語を駆使しながら観光する自主行動日を設けるなど、これまで培ってきた英語力を試す絶好の機会となっている。帰国後は参加者がその成果を英語でプレゼンテーションし、現地で味わった感動や気付きを全校生徒と共有する。

 “英語で表現するチャンス”は授業の枠を超え、学校生活にも広がる。中学では3か月に1回、ネイティブ講師が1か月間同じ教室を訪れ、朝のショートホームルームやランチタイムを生徒と過ごす。マンツーマンの英会話教室(放課後/週3回・申込制)、英語で日記を書く取り組みも生徒たちに好評だ。日記はネイティブ講師がチェックし、ていねいな添削とともに返却される。

 また、英語圏に8校の姉妹校を持ち、1972年から続く英国短期留学(中2~高2・希望制)、アメリカ・イギリス・オーストラリアの姉妹校への3か月・6か月留学(中3~高2・選抜制)など豊富な留学制度を用意。東京都からの助成金を満額受給できるなど、留学しやすい環境が整備されているため、在学中に留学を経験する生徒が50%を超える学年もある。海外で自分の殻を破る経験が、今後の大きな成長へとつながっていくのだ。

 さらに、イギリスとオーストラリアの大学に指定校推薦枠を確保。それに加えて、海外大学やスーパーグローバル大学(SGU)をはじめ、国内外の大学との連携を一層強化するなど、幅広い進路の実現をサポートしている。

 生徒の可能性を伸ばすために、来たるべき時代を見据え、一人ひとりに寄り添う教育を展開する富士見丘中学高等学校。その先進的な取り組みには、教育界だけでなく、受験生や保護者からも大きな関心が寄せられている。

富士見丘中学高等学校の詳しい説明はこちら

「子どもが輝くための私立中高一貫校ガイド」はこちら