イヤイヤ期や反抗期、成長の過程とはわかっているけど、イライラガミガミが抑えられない。すぐに沸騰しては、1日の最後に反省という日々を過ごして悶々としている人も多いのではないでしょうか。こんな負の感情とうまく付き合うために、まずは自分の心についての理解を深めてみませんか? 「迷える共働き親を救う『イヤイヤ・反抗期』道しるべ」特集第5回目はアンガーマネジメント。中学生と高校生の2人の女の子のママで、日本アンガーマネジメント協会認定アンガーマネジメントファシリテーターの菅野昭子さんに、子どもへの「怒り」の感情を上手にコントロールする方法を教えていただきました。

【迷える共働き親を救う「イヤイヤ・反抗期」道しるべ】特集
(1) 子のイヤイヤ共働きのせい?抑え込むとどうなる?
(2) イヤイヤ期を育て急がない 編集部も腹落ち!
(3) 7つの読者事例からひもとく イヤイヤの現実解
(4) 親の「常識」見直せば思春期はもう怖くない!
(5) イヤイヤ・反抗期の子への怒りは6秒、〇〇して待つ ←今回はココ
(6) 反抗期とママの大人思春期 重なるから修羅場に

怒りが起こるのは動物として自然な反応

 「とにかく毎日怒っていて、そんな自分が嫌になる。この怒りを抑えるにはどうすればいいのだろう」と、子育て中に感じたことのない人はわずかなのではないでしょうか。

イヤイヤ期や反抗期の子どもを相手に毎日怒ってしまい、自分に嫌気がさしているパパやママは少なくないのでは?
イヤイヤ期や反抗期の子どもを相手に毎日怒ってしまい、自分に嫌気がさしているパパやママは少なくないのでは?
イヤイヤ期や反抗期の子どもを相手に毎日怒ってしまい、自分に嫌気がさしているパパやママは少なくないのでは?

 しかし、日本アンガーマネジメント協会認定アンガーマネジメントファシリテーターの菅野昭子さんは、「怒りは抑えるものではありません。怒ること自体、悪いことではないのです」と、話します。

 アンガーマネジメントとは、「怒りを無理やり抑え込むのではなく、うまくコントロールすること」を目的に、アメリカで生まれた心理テクニック。人は怒りの感情に振り回され、疲弊してしまいがち。怒りをコントロールすることは、自分自身を楽にし、周りとの関係も良くなるなど、多くのメリットをもたらします。

 「怒ること自体は仕方のないことなんです。例えば、通りすがりの人に足を踏まれたとしますよね。そのときにイラっとするなど、多少なりとも怒りを感じることがあると思います。それは自身がなんらかの危害を与えられていることに対する『防衛反応』なんです。人はそもそも狩りをして生きてきました。人間は、身の危険を感じるとアドレナリンが出る動物です。アドレナリンが出ると、人は緊張や興奮をおぼえ、瞬時に攻撃的になりやすくなるのです」(菅野さん)

 それでは、子どもがご飯をこぼす、ランドセルのなかにぐちゃぐちゃのプリントが放置されているといったことに怒りを感じるのも防衛反応、ということなのでしょうか。

 「それも同じです。つまり、『私の仕事を増やした』=『私に危害を加えている』という思考になりますから、防衛反応といえます」(菅野さん)

 怒りが出てくるのは、動物として仕方のないこととして……それを人間ならではの理性でコントロールしていくのがアンガーマネジメント。「もともとは自分自身、本当に怒りんぼのママでした。ひどい時は15分怒鳴り続けることもあり、自分でもすぐに怒ってしまうことが辛すぎて、娘たちが小学4年生と小学1年生だった頃に、アンガーマネジメントの勉強を始めたんです。そうしたら子どもたちの笑顔が増えていき、親子の会話も増えました」。こう話す菅野さん自身が、自ら実践しながら築き上げた細かなノウハウとともに、実践方法をレクチャーしていただきました。

<次のページからの内容>

● 「まずは6秒待つ」のが有効なワケとは…?
● 6秒も待てない人は、〇〇しながら待つのがおすすめ
● 「べきの基準」は人それぞれ 目指すべき姿は?
● 「許せるものは許す」。思考を変えるための4つのポイント
● 子どもや家族に伝えておくべきこととは?
● ボールは優しく投げないと相手は受け取れない ほか