子どもへの体罰を禁じる改正児童福祉法などが成立し、2020年4月に施行される見通しとなりました。ただ親は、法律ができたからと言って急に「たたかない子育て」ができるようになるわけではありません。

江東区で2019年10月に開かれた虐待予防のシンポジウムでは、体罰の全面禁止を世界に先駆けて法制化したスウェーデン、フィンランド両国の関係者や、中学3年生を頭に4人の子どもを育てる女優の土屋アンナさんらが登壇。子どもに手を上げてしまうというママたちの悩みに「疲れたら『母を休む』」など、さまざまなアドバイスを送りました。

土屋さん「マヨネーズが部屋中に…」てんやわんやの子育て

 シンポジウムには、子どもを育てるママ・パパが数人登壇し、たたかない子育ての難しさを語りました。

 男の子2人を育てる母親は「つい子どもの手をぱしっとたたいてしまうことが、正直あります。いけないことだと分かっていても、どうやって子どもをしつければいいのか分からない」と話します。

 また別の母親も「自分が子どもの頃、たたかれたことがあったので、子どもに対してもたたくスパイラルにはまってしまうことがある」と明かしました。

 土屋アンナさんも「一人が泣いている横で、別の子の『ママ抱っこ、抱っこ』が繰り返されるなど、毎日てんやわんやです」と、苦労を語りました。いら立ちのあまりマヨネーズの容器を投げてしまい、部屋中にマヨネーズが飛び散ったことも……。

 ただ土屋さんは、子どもたちをたたいたことはないといいます。

 「学生時代、先生にたたかれたことがありますが、痛みから逃げたいと思うばかりで、そこから何かを学んだ記憶はありません。マヨネーズの時も、ストレスをぶつけて子どもを怖がらせてしまったと自分を責める結果になっただけで 、しつけの効果はなかったと思います」

 罰によらない子育て「ポジティブ・ディシプリン」の普及を担う団体「きづく」の森郁子代表は「子どもは罰を受けるなどして萎縮した状態だと、学ぶべき内容をきちんと理解できないと研究が示しています。安心できる環境があってこそ、しつけの目的も果たせるのです」と語りました。

 会場からは「言葉の暴力はどこまで許されるのか」といった質問も出されました。これに対して森さんは「どの程度まで許されるかという議論より、暴言を使ったしつけに代わる子育てを、社会全体が考えることが重要です」と答えました。

シンポジウムに登壇した女優の土屋アンナさん(左)、スウェーデン出身の柚井ウルリカさん(右)
シンポジウムに登壇した女優の土屋アンナさん(左)、スウェーデン出身の柚井ウルリカさん(右)

次ページから読める内容

  • 「体罰のおかげで立派に育った」はNG
  • 母親を楽にするシステムを 父親の育児参加は不可欠
  • 「たたいてしまう」親の声を表に出す 子育ては社会全体で

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