「たたいてしまう」親の声を表に出す 子育ては社会全体で

フィンランド大使館広報部の堀内都喜子さん
フィンランド大使館広報部の堀内都喜子さん

 ウルリカさんは「子どもは親の所有物ではなく、社会全体で育てるのだという認識が広がれば、母親はもう少し楽になるのでは」と提案します。

 堀内さんは、フィンランドでは公的支援が充実しているだけでなく、近所の人やママ友なども、気軽に育児に関わるといいます。「親たちも周りの人に頼るのが上手です。私も現地の学生だった時、よく担当教授の子どもの面倒を見ていました」(堀内さん)

 シンポジウム会場の江東区でも、住民を子育てに巻き込む取り組みが始まっています。湾岸地域の高層マンション群を中心に子どもが増加する中「行政のマンパワーは限りがあり、地元住民の協力が不可欠になっている」(担当者)という事情もあるためです。このシンポジウムも、子育て中の母親らが実行委員会を作り、運営を担いました。

 森さんは「子育ては大変なのだから、親は助けが必要だと声を大にして言っていい。法整備によって、ひた隠しにされがちだった『子どもをたたいてしまう』という声を表に出し、社会全体で子育てを支援する機運を作れればと思います」と語りました。

 シンポジウムは、児童虐待の予防啓発などを目指す団体ママリングスと江東区などが主催する「こうとう子育てメッセ2019」の一部として開かれました。

取材・写真・文/有馬知子