「体罰のおかげで立派に育った」はNG

 スウェーデンは1979年、フィンランドは1983年に、体罰を禁じる法律を制定しました。フィンランド大使館広報部の堀内都喜子さんによると、同国では1981年、国民の約半数が体罰を容認していましたが、2014年には15%に低下し「国全体に、体罰はいけないという共通認識が広がっています」。

 約30年前にスウェーデンから来日した柚井ウルリカさんも「スウェーデンでは子どもをたたくことはおろか、路上で腕を強く引っ張ることすらあり得ません」と話します。日本で3人の子どもを育てましたが、「スーパーなどで親が子どもをたたき、周囲の人もそれを当たり前のこととして、全く反応しない様子」に衝撃を受けたといいます。

 「殴られて育ったおかげで、今の自分がある」「愛情を伴う体罰は、ある程度必要」といった声は、日本だけでなく海外でもまだ少なくありません。しかし森さんは「暴力、暴言などの罰が子どもに悪影響を及ぼすリスクを高めることは、科学的に証明されています。『自分は立派に育った』など個人の経験ではなく、社会全体から体罰をなくすことがリスクを低下させるのです」と解説します。

 また、改正児童福祉法が禁じているのは、親権者等による体罰に限られます。しかし、日本では教育現場やスポーツ指導者の間にも、暴言や暴力が存在します。森さんは「本来はあらゆる場面、すべての人を対象とすべきです」と訴えました。