「おせっかい」のススメ。地域の人と情報共有する講座を開設
「コミュニティー」の実現を目指して今年2月に設立されたのが、今回の講演を主催した「江東子育てネットワーク」です。
同ネットワークの落合香代子共同代表は、子どもを育てながら看護師として勤務する中で偶然、児童虐待に遭遇し、防止について考えるようになったといいます。子育て支援に携わる中で、2016年、米ポートランドの虐待対応の現場などを視察。そこでは児童虐待についての研修に、バスの運転手や子どもが通うクラブチームのコーチ、登校を見守る「旗振りおばさん」のような地域の人までが参加し、協力関係を築いていました。
「地域の人と情報共有をする大事さに、それを見て気づいたんです」。江東子育てネットワークは今年、6回にわたって子育てに関わる講座を開く予定です。その名も「おせっかい講座」。落合さんは言います。
「私は外で親が怒鳴り、子どもが泣きわめていたら、『元気ねえ』『お母さん大変ねえ』と話しかけます。声をかけない人がいてもいい。でも周囲の多くの人が、いろんな形で子育てにポジティブに関われば、親も共感してもらえたと感じ、自分を立て直せると思うのです」
BEAMSの最後は、こんな言葉で締めくくられています。
「我々が虐待の存在を全く考慮に入れないとき、また虐待の存在を疑いながら、様々な理由をつけてその問題に対処しないとき、それは我々の行うネグレクトである。我々は『常に加害者になりうる』ということを、意識しなければならない」
BEAMSは医療関係者を対象とするプログラムです。ですが、地域社会にもこの言葉は当てはまるのではないでしょうか。
(取材・写真・文/有馬知子 イメージ写真/鈴木愛子)