ケンカしているときは、僕は沖縄の方言で、ぺこりんは大阪弁で、口調も荒くなることがあります。そうなっても、お互いに言い合っている状態なら僕は、全然構わないと思ってます。
逆に、言い方がどんなに冷静でも一方的なのは嫌です。それはコミュニケーションを取ろうとしないで、自分の気持ちを発散して、自分で解決しようとしているだけだから。
大事なのは「言う」ではなく、「伝える」でもない。「伝え合う」こと。夫婦に必要なのは対話なのだから、一方的に言葉をぶつけている状態はコミュニケーションじゃない。
お互いのことが大好きだから、不毛なケンカはもったいない
2人にとって「伝え合う」ことが大切なのは、15年にテレビに出始めて急に忙しくなり、すれ違いを経験したことが大きいです。
僕がショップ店員をしていたときは、時間だけはありました。あのころは、2人で一日中公園をお散歩して、おしゃべりしているなんてことは普通でした。
それがテレビに出始めて生活が一変。スケジュールは詰まりに詰まっているし、時間の余裕はないから2人の時間は減るし、ほとんど寝てないし、神経はピリピリしているし……。相手に対して“のみ込んでいること”がお互いにあったものの、寝たいから、それを言う時間もない、という毎日が続きました。
そういう状態になると僕らは、意味の分からないケンカをしちゃうんです。互いにイライラして、不機嫌になり、八つ当たりでしかないようなことから口論が始まり、「あのときもこうだった、ああだった!」「別に言わないでいいかなと思っていたけど、1週間前のあれさ……」と過去を掘り返すような言い合いに発展……。「なんでそのとき言わないの!」というやり取りに、「何のケンカ? これ…」という不毛なやつです。
そんなケンカ、もったいないじゃないですか。お互いのことが大好きなのに。だから僕らは、大きなケンカになる前の段階で、いちいち、一つひとつ、違和感があればそのときに潰します。
最近だと、こんなことがありました。
ぺこりんは、5月から産休をいただいてお仕事をお休みしています。ところが、何の相談もなしに仕事を引き受けてきたことがあって。僕は産まれてくる子どもの安全を考えて、休んでいてほしかった。「何かあったらどうするの?」と言う僕と、「でも、私のからだだから!」と言うぺこりんと意見がぶつかりましたね。
ほかにも、わが子の顔をメディアに出すかどうか。住んでいる地域は保育園入園が厳しいからどうするか。差し迫る現実問題について、話をしますよ。2人の子ども時代を振り返って、「自分はこう育って、こうだった」「こう考えていた」「このことについてどう思う?」みたいな会話もたくさんしています。白熱し過ぎて泣いちゃうこともあるぐらい(笑)。
言葉を交わし続けているから、ぺこりんのことがより深く分かっていくし、毎日「好き」が増えていく実感もあります。
僕らの関係がこれからどう変わっていくかは、未知の世界。だけど自分たちは、きちんとお互いの気持ちを交換することが大事だと分かっています。原点を忘れず、2人ならではのライフスタイルを、これからも見つけていくつもりです。
(取材・構成/平山ゆりの、撮影/加藤 康)
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