共働き子育てメディア、日経DUALとして初めて「夫婦」そのものに向き合う特集です。夫婦は、私たちにとって当たり前の存在だからこそ、ついないがしろにしがち。でも、ないがしろにし過ぎると、共働き生活の根底を揺るがせるリスクにもなりかねません。また、夫婦生活がうまくいっていると子育てと仕事の両立がスムーズにいきやすいという事実もあります。共働き世帯数が専業主婦世帯数を抜き、“人生100年”時代に突入するという私たち世代には、これまでにない「夫婦像」を形作っていかなければいけないという使命があります。その一助となるべく企画した特集も、今回が最終回です。第6回は、夫婦カウンセラーのおいかわのりこさんに、共働き子育て夫婦が陥りがちな“危機”と、それをどう予防し、またはどう乗り越えていくべきかを語っていただきます。

【DUAL世代の“夫婦道~ふうふどう~”特集】
第1回 りゅうちぇる「いちいち伝え合う」のが僕とぺこりん
第2回 共働き夫婦の75.9%が「幸せ」!その理由は?
第3回 共働き「今の配偶者と一生連れ添いたい」75.3%
第4回 不毛なケンカよりも賢い議論を 仲良し夫婦の極意
第5回 「夫婦とは」心療内科医が分析 共働きの子育て後は
第6回 子の頑張りを共に応援できるかが夫婦円満の分かれ道 ←今回はココ

親である前に、「夫婦」であることを忘れずに

「共働き親は、子育てや仕事で忙しさのあまりつい忘れがちですが、2人の間で最も大事な関係性は『親』よりまず、『夫婦』です」(おいかわのりこさん)
「共働き親は、子育てや仕事で忙しさのあまりつい忘れがちですが、2人の間で最も大事な関係性は『親』よりまず、『夫婦』です」(おいかわのりこさん)

 「夫婦問題相談室にご相談に来られた時点で、夫婦の“危機”がかなり深刻化している場合は少なくありません。そこまで問題を放置してしまうと、修復にはかなり時間がかかります」

 「恋愛結婚であろうと、お見合い結婚であろうと、やはり一番大事なのは結婚相手の選び方です。相手に対して愛情を持てるかどうかももちろん大切ですが、一緒に家事・育児をしていってくれそうか、相手の気持ちに寄り添えるかという点が、実は思った以上に重要です」

 でも、それが事前に分かれば苦労はありません。互いを結婚する相手だと決めて結婚し、子どもを持ち、育て、仕事でもキャリアアップを目指してきた2人が、どうすればいつまでも仲の良い夫婦でいられるのでしょう。

 「大事なのは、結婚というものの捉え方、つまり『結婚観』です。共働き親は、子育てや仕事の忙しさのあまりつい忘れがちですが、2人の間で最も大事な関係性は『親』であるより、まず『夫婦』であることです。親という立場も大事ですが、そこだけに力を入れてしまうと、子どもが巣立った後、夫婦をつなぐものが何もなくなってしまいます」

 「だから、どんなに忙しくても、毎日話をする。毎日、ゆっくり話をする時間がない場合は、週1回でも月1回でも構いません。外で夫婦だけでごはんを食べるなり、子どもの習い事に一緒に付き添うなり、何か機会をつくって夫婦で時間を共有するようにするといいと思います」

 「子育て中は、学校や習い事のこと、長期休暇の計画、お互いの家族に関することなど、実は共有しなくてはならない事務的な情報だけでも、相当な分量になります。日ごろの会話量が少ないと、その事務連絡すらできなくなり、2人にとって最も意見のすり合わせが必要なこと――子どもの教育指針や、家族の価値観――について話すことができないまま、大事な時期を過ごしてしまうことになるのです」

 しかも、「特に重要な時期がある」と、おいかわさん。

<次のページからの内容>
● 共働き子育て夫婦が最もよく話し合うべきタイミングとは?
● 子どもが一生懸命、目標に向かって挑戦するプロセスは、夫婦一緒に応援すべき
● 一人で重荷を背負い込んでしまう側にも問題がある
● 今、“幸せモード”の夫婦こそ、要注意
● 「私さえガマンしていれば、すべて丸く収まる」は違う
● 夫婦の関係改善は、いつからでも可能
● 自分の夫が発達障がいでは? と思ったら…