主体性を支える「作品ボックス」「こわさないでね」の紙

 たまがわみんなの家では、こういった子どもの主体性を大切にするための仕組みを随所に見ることができます。その一つが「作品ボックス」と名付けられた箱。子どもたちは1人1つずつこの箱を持っていて、作りかけの作品や取っておきたいものなどを入れておくために使います。この他の園のルールや工夫について、本間園長先生に伺いました。

山下 積み木コーナーに「こわさないでね」と手書きの貼紙がついた作品がいくつもありましたが、これも園で取り入れているルールですか?

園長 はい。降園する時間になっても作りかけの作品は壊さなくてもいいルールになっていて、その際に子どもたちが手書きの貼紙をつけるようにしています。

山下 このルールによって、子どもたちに何か変化はありましたか?

園長 すぐに壊さなくていいようにしたことで、時間をかけて壮大な作品を作ったり、秘密基地のような空間にして遊びを展開したりと、遊び方が広がりました。明日も遊びの続きをやりたい時のために、最大で1週間までは作品を置いておけるようにしたのがこのルールの始まりなのですが、過去には「こわさないでね」と貼紙をしておいた作品が翌朝どういう訳か壊れてしまっていたことがあって。

山下 子どもたちはショックでしたね。

園長 いつも一緒に遊んでいる男の子2人の共同作品だったのですが、2人で話し合った結果、壊れていたのは「貼り紙がよく見えなかったからじゃないか」という結論に至り、そこからその2人が交代して積み木の見守り役をするようになったんです。

山下 壊されても犯人捜しにならなかったということから、日頃からお友達との信頼関係がしっかり築けていることがわかりますね。そのこと自体も驚きですが、そこから子どもたちが仮説を立てて、問題解決に向けて協力しあう姿が見られたというのもすごいですね。

園長 本当にやりたいこと(=仲良し2人で積み木を完成させたい)に対する強い想いがあって、そのために考えたり、対話したりすることを繰り返したからこそ行き着いた行動だと思うんです。実際「こわさないでね」の紙は、「完成させたい」という子どもたちの思いを実現する上で非常に有効な取り組みでしたが、そういった子どもの姿をたくさん引き出していくためにどうすべきかを考えることこそが、園を運営する私たちの仕事だと考えています。

「子どもの興味を引き出せる環境づくり」が大切だと話す本間園長
「子どもの興味を引き出せる環境づくり」が大切だと話す本間園長
作り途中の作品の上に「こわさないでね」の紙が置かれている
作り途中の作品の上に「こわさないでね」の紙が置かれている