おうちのような落ち着ける保育園

 等々力渓谷がすぐ近くを流れる落ち着いた環境にある世田谷仁慈保幼園。運営主体は、鳥取県米子市で昭和2年から保育園運営をスタートした社会福祉法人仁慈保幼園。長い歴史のある園と聞くとなんだかお堅いイメージがありますが、実際に取材して見えてきたのは、子どものありのままの姿を受け止め、そうした個性を活かすために柔軟に保育を展開する軽やかさでした。

 まず玄関を通り抜けると、園内を保護者らしき男女が行き来している姿が目に入ってきます。「今日は保育参観日なのかな?」ときょろきょろしている私を、園長の佐伯先生が出迎えてくれました。

 「ここでは、保育者は普段着で保育をしているんですよ」と佐伯園長。さっき私が保護者だと思った男女は、保育士だったのです。保育士というとトレードマークのようなエプロン姿や、Tシャツにジャージといった格好をよく見かけますが、世田谷仁慈保幼園ではあえて普段ママやパパが着ているような普通の服で保育にあたっています。

 その背景にあるのは、保育士がママやパパと同じような格好をすることで、子どもたちが安らげる環境にしたいという思い。さらにもう一つあるのは、「子どもは未熟な存在だから大人が導いてあげるべき」という視点ではなく、「子どもも大人も一人の人間として対等な存在」という考えがベースにあるため、子どもと接するために服装を切り分けるということはしない、という考え方だそう。室内の壁面も、他の保育園でよく見かけるようなにぎやかな装飾はなく、シンプルでアットホームな雰囲気。まるで家にいるような感覚を覚えます。

シンプルで落ち着ける保育室
シンプルで落ち着ける保育室