グローバルな時代に必要なスキルと言えば英語です。英語ができれば活躍の場は世界中に広がります。日本にいたとしても、公用語が英語という会社も増えてきますし、グローバルな部署に配属され、英語が必要になるかもしれません。自分は苦手だけれど、わが子には英語を身に付けさせたいと考えている親も多いのではないでしょうか。そこで特集第3回では、グローバル時代の英語の学び方を2人の専門家に聞きました。

【グローバル人材が育つ家 特集】
(1) 将来世界のどこでも活躍できる「3つの能力」とは
(2) 竹内薫 リビングの本棚から教育は始まっている
(3) 「国際人として使える英語」の学び方と必要な努力  ←今回はココ
(4) 夏野剛 多様性を受け入れ、尖った才能で突き抜けろ
(5) 海外移住成功の鍵は「アウェーを生き抜くメンタル」
(6) 海外でも日本でも親にできることは「環境作り」だけ

グローバルと言っても求められる英語レベルは異なる

 認知科学や発達心理学を専門とし、人が言葉を学ぶ過程を研究している今井むつみ慶應義塾大学教授。「子どもをグローバル人材に育てるためには、どのように英語を学ばせたら?」の質問に「そう考えている親御さん自身はグローバルでしょうか。子どもにグローバルになってほしいと思うなら、親がグローバルにならないといけません」と鋭いひとことを放ちます。

 「語学というのは投資と同じです。むやみに学ばせるのでは、時間もお金ももったいないもの。子ども自身がやりたいこと、その分野でグローバルになるにはどのくらいのレベルの英語が必要かをまず考えましょう」

 今井さんによると、グローバルに活躍したいという高校生に話を聞くと、国連やユネスコ、ユニセフで働きたいという生徒が多いのだそう。「多くの人の『グローバル』な未来のイメージもそういったものでしょう。しかし、グローバルに活躍している人はそれだけではありませんよね」

 確かに世界で活躍している日本人、と考えると、サッカーや野球の選手、バレリーナ、音楽家、料理人など色々な分野の人が思い浮かびます。医学やIT、ロボット工学の最先端研究者もいます。

グローバルに活躍する人は語学の「センス」を持っている

 「グローバルに活躍する人たちが、等しい英語力を必要とするわけではありません。スポーツ選手に必要なのは、チームの仲間と意思疎通ができる語学力です。研究者、ビジネスマンも、それぞれ仕事に必要な英語のレベルは違います。また、バレエや音楽、スポーツなどで留学する人も、日本を出発する日までに十分な語学力があるとは限りません。しかし、語学ができないから留学しなかったという話は聞きませんよね。実際、留学できるレベルまで学ぶ体験を重ねてきた人には、『学びのセンス』が身に付いているので、留学してから、現地で自分の目指すことを学ぶことを通して、語学力が追いついてくるのです」

 今井さんは、英語学習では「スキル」と「センス」の両方を身に付けることが必要で、幼いころには「センス」を意識した働きかけが大切だと話します。それは英語でなくてよいのだとも。語学における「センス」とはどのようなことでしょうか。その意味や役割、センスの身に付け方を詳しく聞いていきましょう。

<次のページからの内容>

● センスがある人は「物は言いよう」を実践できる
● グローバルなレベルでは相手に合わせた話し方、文が必要
● 言葉の「センス」は母語を通して育まれる
● スキルとセンスは両輪。スキルを磨くことでセンスが身に付く
● 親が内向きでは子どもはグローバルになれない
● インターネット時代に英語を書くことはますます重要になる
● 英英辞典活用、アウトプット、フィードバックがキーワード
● 単語のつなげ方まで分かる英英辞典
● 文が作れたらアウトプット。フィードバック後の修正で話す力が付く