将来に備えて必要なのは、英語をはじめとする語学力なのか、プログラミングなどのテクノロジーに関する知識や経験なのか…。今から子どもたちの将来を憂い、何をさせればいいのかと悩んでいるママやパパは少なくないでしょう。昭和や平成という時代は、「学歴」が一定のセーフティーネットとして機能していましたが、「令和」時代はそうではない可能性が高いはず。そう考えると、学校以外での教育、すなわち「家」や「家庭教育」で何を教え、どんな環境を用意するかが大きな違いとなってくるのではないでしょうか。

この特集では、自身も世界で活躍するグローバル人材に「子どもをグローバル人材に育てるために親にできること」について聞きました。子どもたちに身につけさせるべき3つの能力とは?

【グローバル人材が育つ家 特集】
(1) 将来世界のどこでも活躍できる「3つの能力」とは ←今回はココ
(2) 竹内薫 リビングの本棚から教育は始まっている
(3) 「国際人として使える英語」の学び方と必要な努力
(4) 夏野剛 多様性を受け入れ、尖った才能で突き抜けろ
(5) 海外移住成功の鍵は「アウェーを生き抜くメンタル」
(6) 海外でも日本でも親にできることは「環境作り」だけ

「学歴」は将来、何の足しにもならないかもしれない

 かつて、日本が「世界が羨む経済大国」だった時代は、日本国内で通用する人材であれば食べていける時代でした。新卒で入った会社で頑張って働けば、年功序列で給料は上がっていき、退職金を受け取り、定年後は年金で食べていける…。ただし、「会社にすべてをささげる」必要があり、家庭を顧みずに残業することや休日出勤なども求められたので、楽だったというわけではありません。しかし、将来のリスクという意味では、現在とは比べものにならないくらい安心・安定していた時代だったといえるでしょう。

 そして、日経DUAL読者の子どもたちが社会に出る10~20年後は、今より厳しい時代に突入しているかもしれません。グローバル化がより進み、海外企業との競争にさらされ、AIなどのテクノロジーの進化にもついていく必要があります。「いい大学に入れれば将来は安泰」などというセオリーは、現在も既にあてはまりませんが、将来は何の足しにもなりはしないかもしれないのです。

 そんな子どもたちが国内外を問わず活躍し、どこでも働けるような人材になるために、今からできることは何でしょうか? 子どもに親がしてあげられることとは、一体何なのでしょうか?

 世界で初めて携帯電話のインターネットサービス「iモード」を開発した、ドワンゴの代表取締役社長で慶応義塾大学大学院教授の夏野剛氏は「とにかく子どもになんでも触れさせる、体験させる、やらせてみることに尽きる」と話します。

子どもたちにはまずはなんでも「やらせて」みよう(写真はイメージ)
子どもたちにはまずはなんでも「やらせて」みよう(写真はイメージ)