日経DUALでは「待ったなしの少子化問題」と、内閣府も推進する「ワーク・ライフ・バランスを保ちながら生産性高く働くための働き方改革」という2つの視点で優秀な企業を応援する取り組みとして、第3回となる「共働き子育てしやすい企業グランプリ」調査を実施しました。今回は8位にランクインした武田薬品工業を紹介。同社の働き方改革の仕掛け人である、元・同社グローバルHR日本人事室労務管理ヘッドで、現在はグローバルHR ジャパンアドミニストレーションエンプロイー・サービス・ヘッドの寺川澄夫さんにお話しいただきました。

<武田薬品工業>
設立1925年/本社東京都中央区日本橋/ 正社員数6780人
製薬会社の中ではいち早く女性活躍推進に力を入れ、時短勤務制度やフレックスタイム、育児休暇復職支援プログラムなどを導入し、女性の離職率の大幅削減に成功。育休後すぐ職場復帰できるサポートもあり、キャリア形成がしやすくなった。また、グローバル化や個を生かすダイバーシティ&インクルージョン(D&I)の推進という会社方針に伴い、フレキシブルワークを導入し、フレックスタイムの利用率は2018年3月時点で92.4%になっている。

きっかけは、結婚・出産による女性MR(営業職)の退職

 2019年にアイルランド製薬大手シャイアーを買収するなどグローバル化が進む武田薬品工業。多様な働き方を積極的に促進する同社が女性活躍推進に伴う働き方改革を本格的に始動したのは、2005年ごろからだ。きっかけは、「00年以降、女性のMR(営業職)採用を増やし、全社員の約5割を超え、05年ごろには、結婚や出産・育児といったライフスタイルの変化で、多くの女性MRが退職 してしまったことにある」と寺川澄夫さんは振り返る。寺川さんは約20年間、同社の働き方改革に尽力してきた元・同社グローバルHR日本人事室労務管理ヘッドで、現在はグローバルHR ジャパンアドミニストレーションエンプロイー・サービス・ヘッドを務める。

 そこで人事部門と営業部門が連携を図り、第1フェーズとなる働き方改革に乗り出した。ライフスタイルが変化しても女性社員が働き続けられる仕組み作りだ

 「1年以上かけて両部門の担当が定期的に集まって話し合い、トライアルを重ねながら、MRの女性社員が育児と両立できる時短勤務制度やフレックスタイム、在宅勤務、育児休暇復職支援プログラムを導入していきました。フレックス制度や在宅勤務の導入は同業他社よりも早かったですし、何よりも女性MRが時短で働くという今までにない概念を、世の中に発信できたと思います。こうした制度の導入の結果、離職率の大幅な低下につながりました

 制度を活用して育休を取得する女性社員の人数は次第に増えていき、2010年以降、年間100人単位が取得するようになった。そこで、同社は改革の第2フェーズとして、ワーク・ライフ・バランスの推進と両立支援策のさらなる充実を図っていった。

元グローバルHR日本人事室労務管理で、現在はグローバルHR ジャパンアドミニストレーションエンプロイー・サービス・ヘッドの寺川澄夫さん
元グローバルHR日本人事室労務管理で、現在はグローバルHR ジャパンアドミニストレーションエンプロイー・サービス・ヘッドの寺川澄夫さん
<次のページからの内容>

● 企業内託児所を設置
● 制度を周知させる説明会を開催
● 上限なしのテレワーク、シフト勤務以外の全従業員が利用可能
● 生産現場での生産性指標の設定を実施

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「共働き子育てしやすい企業ランキング」の上位25社、先進企業の評価・分析
「男性育休取得率」「女性管理職の割合」「有休取得率」などテーマ別ランキング
10の業界で比較、上位企業の調査回答

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