日経DUALでは「待ったなしの少子化対策」と、内閣府も推進する「ワーク・ライフ・バランスを保ちながら生産性高く働くための働き方改革」という2つの視点で優秀な企業を応援する取り組みとして、第3回となる「共働き子育てしやすい企業グランプリ」調査を実施しました。今回は、17位にランクインしたJXTGエネルギーの、無駄な業務を削減して残業を大幅削減した施策や、男性育休率を向上させた工夫などについて紹介します。

<JXTGエネルギー>
創業/1888年 本社/東京都千代田区 正社員数/9030人(女性比率は約10.9% 数字は2019年4月1日現在)
石油製品(ガソリン・灯油・潤滑油等)の精製および販売、ガス・石炭の輸入および販売、石油化学製品等の製造および販売、電気・水素の供給を行う。

 「2人目の出産で、1年間育休を取って今年4月から復帰しましたが、育休前と復帰後では会社の雰囲気ががらっと変わりました。以前は早く帰ることに正直、罪悪感がありましたが、今はみんなが当たり前のこととして捉えている雰囲気があると思います」。JXTGエネルギー人事部ダイバーシティ推進グループシニアスタッフの永田朝子さんはそう振り返る。

JXTGエネルギー人事部ダイバーシティ推進グループシニアスタッフの永田朝子さん
JXTGエネルギー人事部ダイバーシティ推進グループシニアスタッフの永田朝子さん

 JXエネルギーと東燃ゼネラル石油は2017年4月に統合して、JXTGエネルギーとなった。「もともと、女性活躍と働き方改革は両社とも取り組んでいましたが、統合を機に『改革するなら今しかない』という機運が高まり、取り組みが加速、浸透したと思います」と永田さん。

 統合を背景とした代表的な施策が、17年10月から 開始した「『10を8でやる』改革」 。10ある業務量から2の無駄な作業やプロセスを見つけて削減する。まずは各部署単位でじっくり対話することで無駄な業務と、改善のアイデアを出す。各部で選出された改革推進リーダーが取りまとめて、部署内で解決できる「クイックヒット(自分たちですぐにできる無駄の削減策)」と呼ばれるものはすぐに実行。ほかの部署でも参考にできるアイデアは、社内報などで共有している。  

 さらに、部署間にわたる横断的な課題については「共通課題」として、事務局であった事業改革推進部(現在は総合企画部・人事部が事務局)が調整に当たり推進している。寄せられた共通課題は900件近くにも上った。この「『10を8でやる』改革」を通じて不要な仕事を聖域なく削るとともに、統合基幹システム(ERP)の全社導入を19年度に開始して業務の世界標準化と効率化を推進し、さらなる生産性の向上を図るシナリオだ。

JXTGエネルギー人事部ダイバーシティ推進グループ
JXTGエネルギー人事部ダイバーシティ推進グループ
<次のページからの内容>

● 本人の意識改革と管理職側からの改革「さよなら残業 ~Action8~」
● 時間外労働 命令フローの徹底
● 管理職が率先して休んで有休取得率がアップ
● 男性育休が14年度の4%から17年度34.9%と上がった理由

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<主な内容>
●第1章
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「共働き子育てしやすい企業ランキング」の上位25社、先進企業の評価・分析
「男性育休取得率」「女性管理職の割合」「有休取得率」などテーマ別ランキング
10の業界で比較

●第2章
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