日経DUALでは「待ったなしの少子化対策」と、内閣府も推進する「ワーク・ライフ・バランスを保ちながら生産性高く働くための働き方改革」という2つの視点で優秀な企業を応援する取り組みとして、第3回となる「共働き子育てしやすい企業グランプリ」調査を実施しました。今回は、19位にランクインした大成建設の施策を紹介します。

<大成建設株式会社>
創業/1873年 本社/東京都新宿区 正社員数/8692人(女性比率は約13.6% 数字は2018年のもの)
創業者・大倉喜八郎が創立した大倉組商会が起源。1887年に土木関係業務を切り離し、日本初の建設業法人となる有限責任日本土木会社を設立した。2018年から2020年の中期経営計画では国内外の建設事業を核とした施策を推進する一方、業界の課題である「働き方改革」と「生産性向上」に率先して取り組んでいる。

 建設業界は男性社会というイメージを持つ人は多いだろう。大成建設(東京・新宿)も例外ではなく、全社員の8割以上を男性が占める。こうした業界で女性社員を含めた社員全体のワーク・ライフ・バランスを実現するには、男性社員の意識改革と、男性が積極的に育児に参加できる環境の整備が不可欠だ。

 同社は、近年は男性の子育て支援、および多様な働き方を実現するテレワークの展開と浸透に注力。働き方改革の1つとして推進してきた男性の育児休業取得については、3人前後だった取得者を2017年度には257人まで急増させている

 今回は、育児休業を2度取得して復帰した、一級建築士であり、設計本部 構造計画部 構造計画室の岡山真之介さんに経験談を聞き、同社の取り組みとその成果を探ってみたい。

「自分が育休を取ろう」とすぐに思えた

 岡山さんは、上の女の子が生まれたときに1度、下の男の子が生まれたときに1度、計2回の育児休業を取得した。

 「上の子は2歳から保育園に預けたので、休業中は妻と一緒に初めての育児に奮闘しました。一方、下の子は妻が職場に復帰するタイミングで保育園に預けることになり、私は慣らし保育に合わせて育児休業を取得して、保育園の送迎や夕飯の支度などを主に担当しました」

 慣らし保育の期間はお迎えの時間が早く、夫婦のどちらかが早く帰らざるを得ない。しかし、高校の教員である岡山さんの妻にとって、4月は1年で最も多忙で重要な時期だ。

 「お互いの実家も遠く、他に頼れる人もいません。妻の仕事の特性を考えると、私が仕事を調整して休んだほうがいいと思いました

設計本部 構造計画部 構造計画室の岡山真之介さん
設計本部 構造計画部 構造計画室の岡山真之介さん
<次のページからの内容>

 ● ICTを活用しての生産性向上
 ● 「男性育休取得率100%を目指す」
 ● 2024年までに残業を大幅削減する社長メッセージ

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<主な内容>
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「共働き子育てしやすい企業ランキング」の上位25社、先進企業の評価・分析
「男性育休取得率」「女性管理職の割合」「有休取得率」などテーマ別ランキング
10の業界で比較、上位企業の調査回答

●第2章
27社を総力取材!成果を出している企業の実例
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● 定価:本体90,000円+税
● A4、約200ページ

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