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男性育休義務化、中小7割反対の背景と進めるべき理由

「中小企業の7割が反対」の背景には働き方改革が浸透していないことがある/同調性重んじる日本、3割突破すれば取得が多数派に変わる/両親学級をセットで


反対が多い業界には、人手不足の現実がある

 「企業に対する義務化」と理解した上での反対だとしたらどうでしょうか。商工会議所の調査担当者は「2019年に働き方改革関連法が施行され、年5日の年次有給休暇の取得が義務化されました。中小企業は2020年4月に時間外労働の上限規制が施行されたばかりです。その中で育休が義務化されると、人手不足に拍車がかかるため、中小企業にとって義務化は厳しいという表明では」と、7割という数字の背景を分析しています。

 反対が多い運輸業、建設業は、働き方改革関連法で規定された時間外労働の上限規制の適用が5年間猶予されています。もともと人手不足が深刻で、男性も多い業界です。また、介護・看護業では、コロナ下で業務が増大していることが指摘されています。

 「育休取得で人が減ったらますます現場がつらくなる。多くの企業は育休取得の重要性は理解しつつも、そのような背景から、反対と答えたのではないでしょうか」(調査担当者)

働き方改革が始まったばかりの中小企業では育休は次のステップ

 塚越さんは「少子化対策が急がれる中で、与野党の政治家も社会のコンセンサスも男性育休の促進に向かっています。反対が7割だとしても、やらなくていいという方向にはもう向かないでしょう。大企業は昨年から働き方改革に取り組んでいますが、中小企業では、今年春に始まり、業務改革に取り組んでいる真っ最中です。育休についての取り組みも本格化するのはこれからでしょう」と指摘します。

 反対があることについて、塚越さんは商工会議所の動きに期待を寄せます。「商工会議所は中小企業や個人事業主の活動を支援する団体です。中小企業にとっても男性育休は人事戦略上の大切な柱となります。今回の調査結果をふまえ、社員が男性育休を取るにはどうしたらよいか、ノウハウの提供や企業同士の横のつながりをどうサポートするかが求められてくるでしょう」

 企業側の動きへのインパクトとしては、2020年度から始まった男性国家公務員の1カ月以上の育休義務化を挙げます。「2019年12月末にこの制度が発表されたことがきっかけで、同年4月から働き方改革に取り組んでいた大企業にも、次に取り組むべきは男性育休の推進だという流れができました。働き方改革に取り組み始めている中小企業にも同じ動きが出ることが考えられます」

 また、経営者や管理職層が男性の育休取得を職場の働き方改革の起爆剤として捉えることも必要だと塚越さんは話します。「社員が育休を取り、数週間から数カ月抜けることは、何カ月も前から予定が組めることです。それに備えて、仕事を棚卸しし、属人化したタスクをなくす。人が減っても生産性を落とさないように働き方を変えることは、他の社員が介護などの理由で休んだり、病気の治療をしながらでも働いたりできる職場になるということです。男性の育休は働き方改革と両輪なのです」

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