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男性の育休に追い風 「産休」制度も新設へ大きく動く

働き方改革で企業が男性育休取得の促進にシフト。取得率アップに期待を持てる政府の発表


5月に閣議決定された新たな「少子化社会対策大綱」では今後5年間で男性の育休取得率を30%まで引き上げていくことを目標にしています。目標達成は可能なのでしょうか。男性が育休を取りにくい理由はどこにあるのでしょうか。男性育休の取得促進のノウハウに詳しく、「男性育休義務化」についても提言を行っているワーク・ライフバランス代表の小室淑恵さんに話を聞きました。

男性育休取得率が伸びない理由には誤解や情報不足が

日経DUAL編集部(以下、――) 7月末に「雇用均等基本調査」の結果が公表されました。毎年注目される男性の育休取得率は2019年度は7.48%(※1)。前回調査(2018年度 6.16%)から1.32ポイント上昇したものの、2015年の「少子化社会対策大綱」に掲げられた2020年までに13%という目標との差は大きいです。男性育休の取得率がなかなか伸びない原因はどこにあるのでしょうか。

小室淑恵さん(以下、敬称略) まず、今までの政府の働きかけが企業ではなく、当事者の男性に「育休を取ろう」と呼びかける意識啓発だったことが原因です。パパたちだって「育休を取りたい」と思っていたのですが、職場の同調圧力や上司の賛同が得られないという理由で多くの人が諦めてきたのです。本来は当事者だけでなく企業側への働きかけが必要でした。

(※1)2017年10月1日から2018年9月30日までの1年間に配偶者が出産した男性のうち、2019年10月1日までに育児休業を開始した人の割合(育児休業の申し出をしている人を含む)。

小室 しかし、当事者側にも育休に対する誤解があります。例えば、次のようなことです。

男性育休に対する誤解

・男性は産休が取れないのでは?
→「産休」ではないが、男性は出産予定日から育児休業を取得することができる。予定日より早く生まれた場合は、育児休業開始日を繰り上げることができる。

・会社の就業規則に男性育休の規定がないから取得できないのでは?
育児・介護休業法で定められている制度なので取得できる。たとえ現時点で記載がなくても、本人から申請があった時点で就業規則を改定し、希望者に取得させなければならない。

・育休中は収入がなくなるのでは?
給料は支払われないが、雇用保険から育児休業給付金が支給される。育児休業給付金は休業開始から6カ月までは育児休業取得前の給与の約67%、それ以降は約50%の金額を受け取ることができる。この期間は社会保険料の納付が免除されるので、実質収入の8割はカバーされる。

・妻が専業主婦だと育休が取れないのでは?
→以前はそのように規定している会社があったため、本人も上司も誤解している人が多い。法改正により、現在は妻が専業主婦の家庭も育休を取れる

・育休を取ると会社にコストがかかってしまうのでは?
休業中の給付金は企業が負担しているわけではないので、会社にコストはかかっていない。さらに「両立支援等助成金(子育てパパ支援助成金)」によって、一定の条件を満たせば、男性社員が育休を取る際に勤務先に助成金が支払われる(1年度につき10人まで)。

小室 以上のような誤解や情報不足のために男性が育休取得を強く言い出せず、諦めてしまったという例を多く聞きます。そのようなことを避けるために、当事者は自分でも情報を収集して武装することが大切。上司や人事に打診するときは「もし育休を取るとしたら会社のどんな制度が使えるのか相談にのってください」「企業に給付金も入る形で育休を取れたらと思いますがどうでしょうか」というように打診してみましょう。

 ある日突然「取りますので!」と宣言した場合は、上司が職場の仕事が回らなくなることを不安に思うことから、否定的な反応を受ける可能性があります。結果的に取れたとしてもギスギスした人間関係が続くかもしれません。徐々に相談することによって、上司や人事が「力になってあげよう」という気持ちになる雰囲気をつくっていきましょう。これも育休取得の戦略の一つです。

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小室淑恵 株式会社ワーク・ライフバランス代表取締役社長
小室淑恵 2006年に株式会社ワーク・ライフバランスを設立。多数の企業・自治体などに働き方改革コンサルティングを提供し、残業削減と業績向上の両立、従業員出生率の向上など多くの成果を出す。講演依頼は全国から年200回以上。内閣府「子ども・子育て会議委員」、経済産業省「産業構造審議会委員」、厚生労働省「社会保障審議会年金部会委員」、「一般財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会顧問会議顧問」など複数の公務を兼任。近著に『働き方改革 生産性とモチベーションが上がる事例20社』(毎日新聞出版)『男性の育休〜家族・企業・経済はこう変わる〜』 (PHP新書)など。二児の母。

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