社員の家族の絆作りを支援する動きとして育休を促進

―― 企業にはどのような変化が出ていますか?

小室 昨年の4月に施行された働き方改革関連法は、男性育休の追い風になっています。働き方改革関連法では時間外労働の上限規制が導入されました。そこで再評価されるようになったのが、生産性の高い社員です。彼らは家族や趣味に時間を充てるために、時間内で仕事を終わらせて家に帰っていきます。家族との絆は、生産性を上げることにもつながっているのです。

 反対に、企業がどんなに「定時で帰りましょう」と促しても、「早く帰ると家族から嫌がられる」「家に居場所がない」と思っている社員はなかなか帰らない傾向があります。

 家族との時間を持ちたいという気持ちを社員が持つことで生産性が上がると企業も気づいたことから、子育て世代に向けては家族との絆づくりのスタート地点である出産育児を支援する方向にシフトしています。

 業界によっては同業他社の男性育休取得率を意識する傾向もあり、取得率を引き上げる要因になっています。学生が就職先を選ぶ条件として、男性も育休を取りやすいことが上位にあることからも、男性育休を支援する企業はますます増えていくでしょう。

―― 政府の動きはどうでしょうか。