育休中に、復職後のキャリア形成に向けてスキルアップや資格取得に励んでいる人が増えています。とはいえ、これから育休に入るママたちの中には「何をすればいいの?」「どうやって学べばいいの?」「そもそも育児と両立できるの?」といった疑問や不安もあるのではないでしょうか。

 この連載では、育児と学びを両立している人や、育休中にスキルアップを果たした先輩たちのリアルな声をお届けしていきます。今回は、育休中にかつて学んだ語学のスキルをブラッシュアップしたことで、復帰後に希望のキャリアパスを手に入れることができたママのお話です。

(日経DUAL特選シリーズ/2019年1月収録記事を再掲載します)

切迫早産で突然の絶対安静 焦りを「学ぶ機会に」と切り替え

 ある日突然、会社に行けなくなったTさん。理由は、切迫流産による緊急入院。退院後も出産までの5~6カ月、自宅で絶対安静の状態が続きました。彼女が勤める会社は、グローバルに展開する大手電気機器メーカー。当時は営業の最前線で働いていました。

 「あまりにも突然の出来事で、引き継ぎも何もできませんでした。会社に申し訳ないという気持ちと、同期がバリバリ働くなか、自分だけ休んでいていいのだろうかという焦りでいっぱいに。けれどもそうしたネガティブな感情が、『このタイミングに何かを学ぼう!』という原動力となったのです」

 子どものころから英会話教室に通うなど、語学を学ぶのが大好きだったというTさん。大学では外国語系学部に進み、中国語を専攻しました。そんな彼女が、語学のブラッシュアップに目を向けたのは自然な流れだったようです。

 「何を学ぼうかを考えたときに、自分が好きなことなら育児と両立しながら頑張れそうだと思いました。さらに、私は海外事業を展開している日本企業に勤めているので、強みである語学力に磨きをかけておけば、職場復帰後に生かせるかもしれないと思ったのも理由の一つでした

 とはいえ、人生初の出産、しかも切迫流産という状況もあって、当時は気持ちに全く余裕がなかったというTさん。本格的に語学の復習をスタートさせたのは、無事に出産を迎え、産後1カ月が過ぎたころでした。

 「調べてみたところ、うちの会社は企業のワークライフバランスやダイバーシティ推進などの取り組みを支援する会社のサービスを導入していることが分かりました。育児休職者を支援する様々なプログラムが用意されていたので、それらを活用してeラーニングで英語を学ぶことにしました。プログラムの中には、保活や時短勤務のノウハウなどについての情報も豊富にあって。育休中に何かを学ぼうと思った際、まずは会社の福利厚生もチェックしてみるといいと思います」