育休中に、復職後のキャリア形成に向けてスキルアップや資格取得に励んでいる人が増えています。とはいえ、これから育休に入るママたちの中には「何をすればいいの?」「どうやって学べばいいの?」「そもそも育児と両立できるの?」といった疑問や不安もあるのではないでしょうか。

 この連載では、育児と学びを両立している人や、育休中にスキルアップを果たした先輩たちのリアルな声をお届けしていきます。今回は、育休中の学びがその後のキャリアチェンジに大きく役立ったママのお話です。

様々な職種を転々、キャリアに自信が持てなかった

 「資格が取得できなくても、子育てが忙しかったからと自分に言い訳できる。だから、気負うことなく頑張れたのかもしれません」。そう語る中井彩乃さんは、3歳の女の子を育てながら障がい者の相談支援センターで働くママ。妊娠・出産時は介護職に就いており、育休中に介護福祉士の資格取得に向けた勉強をしていました。同時に、医療事務の資格取得にも挑戦。さらには、かつて取得したキャリアカウンセラー(GCDF-Japan)の資格更新に必要な継続学習も行っていたそうです。

 「当時は介護施設で働いていたのですが、それまでも人材紹介や飲食情報サービスの営業など、様々な仕事を転々としてきました。そのため自分のキャリアに自信がなく、まとまった時間がとれる育休の間に、将来につながる勉強をしようと考えたのです

 中井さんにとって、出産・育児は初めての経験。子育てと複数の勉強の両立は容易ではなかったはずですが、様々な工夫によって、地道に勉強を続けました。

 「介護福祉士の資格取得に向けた勉強では、スクールが販売しているDVD教材を活用しました。私がやったのは、DVDを集中して見るのではなく、家事や授乳をしているときに映像を流す『ながら学習』。数枚あったDVDを数日かけて何回も繰り返し再生することで、試験に必要な知識の全体像を把握できるようになりました

 DVDで全体を一通り理解したうえでテキスト学習に移ったことで、内容をスムーズに理解できたといいます。さすがにテキストを使って勉強をする際は、「ながら学習」は難しいはず。どのようにして時間を確保したのでしょう。

 「テキストを読んだり、過去の問題集を解いたりする際は、子どもを一時保育へ。娘にとっても保育園に通う練習になって一石二鳥でした。また、頭を勉強モードに切り替えるために、勉強場所は自宅ではなく図書館や漫画喫茶を選択。生活空間とは違うところに身を置くことで、思いきり集中して学ぶことができたのです。

 知識の定着を図るために、試験対策アプリも積極的に活用しました。中でも一問一答式のアプリは隙間時間を活用して学べるので、とても役立ちました」

中井さんが「ながら学習」に活用したDVD教材
中井さんが「ながら学習」に活用したDVD教材