乳幼児期からの英語習得、進学のグローバル化、塾通いをしない伸びやかな教育方針。こういった背景から、小中学校など早い段階で子どもの留学を検討する家庭が増えている。その留学先としてこの数年で注目を集めているのが、「未来教育指数、世界1位」を誇るニュージーランドだ。親子留学の末に、なんと現地就職を果たし、夢であった永住権を手にした日本人もいる。今回のテーマは「現地での就活、永住権獲得ノウハウ」です。

【ニュージーランド 教育先進国へ留学特集】
第1回 ニュージーランド留学人気 未来教育指数「世界1位」
第2回 ニュージーランド留学「英語・IT・多様性」が魅力
第3回 ニュージーランドで中高留学、寮生活のリアルな声
第4回 ニュージーランド親子留学 未就学児とママの心得
第5回 ニュージーランドで憧れの永住権 仕事も子育ても ←今回はココ

 前回の記事「ニュージーランド親子留学 未就学児とママの心得」で親子留学のノウハウをお伝えしたが、今回は親子留学を経て、親(ママ)自身が現地で正社員就職を果たし、永住権を獲得した親子に出会った。具体的な留学内容、就職活動、ニュージーランドでの生活や費用を聞いた。

「息子13歳、私は40過ぎ。でも学びたいことがあってここに来た」

 現在、19歳の息子さん(大学生)とニュージーランドで2人暮らしをしている松本貢実子(まつもとくみこ)さん。3人家族で夫は日本で単身赴任をしている。「7年前、息子が13歳、私が40歳すぎての親子留学から始まりました。大学通いと就職活動はとても大変でしたが、今では永住権ゲットという夢を叶えられて家族全員が充実しています」と語る松本さん。具体的な現地就職までの道のりを教えてもらおう。

グラフィックデザイナーとして現地の会社で正社員として働く松本貢実子さん。
グラフィックデザイナーとして現地の会社で正社員として働く松本貢実子さん。

 「40歳を過ぎていましたが、子どもと2人で“親子留学”をしに来たのは、息子に海外で学んで欲しかったからと、私自身が10年前からグラフィックデザインを学び仕事にしたいという夢があったからです。日本にいた頃、私は企業で事務職をしていました。デザインの知識はゼロです。でもこの先、デザインの仕事をやりたいんだという思いはずっと強くありましたし、息子もちょうど小学校を卒業したので、夫に相談して決断しました。私が通っていた大学は、首都ウェリントンにある国立工科大学・ポリテクニックの学校「ウェリントン・インスティテュート・オブ・テクノロジー」、通称WelTec(ウェルテック)。ここに3年間通いました。」

最初の4カ月は辛かった。でもやり抜いて実践力を身に付けた

 「WelTecでは、さまざまなクリエイティブアートを実践的に学べます。私はグラフィックデザインを選択し、1年目は論文(エッセイライティング)など座学もかなり頑張りましたね。2年目になるとプロフェッショナルスタディーズといって、本物のアーティストや専門家の方々と交流して学びます。最後の3年目になると、インターンシップが始まります。コラボクラスで、実際のアーティストや企業の方々と同じクラスで実践的に学ぶんです。最後の年には、映画フェスに参加しました。10人で1クラスになり、48時間以内にひとつの映画作品を完成させるというタフな課題です。皆で協力し、実際のアーティストの方々と協力して“こんなに努力したことはない!”っていうほど力を注ぎました。おかげさまで卒業時にはBest Students Award (最優秀学生賞)を受賞できました。」

松本さんの工科大学生時代のチューター、クレイグさん。「私の今があるのは、クレイグのおかげです!」と松本さん。
松本さんの工科大学生時代のチューター、クレイグさん。「私の今があるのは、クレイグのおかげです!」と松本さん。

 「もちろん英語に関しては楽ではありませんでしたよ。留学して最初の4カ月は辛かった。デザイン自体も英語も両方ゼロからのスタートでしたので、授業中に初めてプレゼンテーションしたときには逃げ出したくなりましたね。ですがチューターやヘルプデスクにとにかく頼ることが大事です。困ったことがあればすぐに質問。私もチューターのクレイグさんには、本当にお世話になりました。」

 さて、松本さんが通った国立工科大学・ポリテクニックとはどのような学校なのだろうか?