46歳で正社員+永住権をゲット! 日本では考えられない

 松本さんは現地でフリーランスのグラフィックデザイナーとして活動する傍ら、就職活動を続けた。

 「フルタイムでpermanent residency(永住権発行)を希望して就職活動に励みました。その結果、ベビーカーメイカー“phil&teds”での正社員採用と永住権獲得が決まりました。今は会社勤務をしながらフリーランスとしても複数のプロジェクトを担当しています。学士卒業証書を持ちフルタイムで働いていれば、永住権を企業が取得してくれる場合もあります」(松本さん)

 親子留学→就活→現地正社員採用→永住権取得と、まるで夢物語のようだが、松本さんはラッキーだったのだろうか?

 「確かに、日本では考えられないキャリア展開だと思います。日本で“46歳です、グラフィックデザインを学びました。正社員希望です”といっても就職はまずムリでしょうね(苦笑)。ですがニュージーランドでは、年齢・国籍はほぼ関係なくダイバーシティ採用をしてくれる。40歳で親子留学に踏み切ったときに描いた夢が、6年かかって実現しました。息子に“ママ、永住権取れたよ!”と興奮して報告しましたね(笑)。今後は日本で応援してくれていた夫をこちらに呼んで、家族全員で暮らすのが次の夢です」と目を輝かせて語ってくれた。

母娘で同時就職! ニュージーランド航空も積極採用

 今回の取材で、“ダイバーシティ採用”の実例をいくつか見たが、ニュージーランド航空での採用にも驚いた。

ニュージーランド航空に就職した日本人スタッフ。母と娘で就職できた工藤さん親子(一番左が娘さん、左から二番目がお母さん)。
ニュージーランド航空に就職した日本人スタッフ。母と娘で就職できた工藤さん親子(一番左が娘さん、左から二番目がお母さん)。

 工藤さん親子の場合は、理恵子さん(母)が語学勉強も兼ねてワーキングホリデー制度を利用して現地の企業に就職し、永住権を取得。その後、改めて仕事に就いた。襟奈さん(娘)は現地の小中高に通った。就職先は、現地の学生にも人気が高いニュージーランド航空(Air New Zealand)だ。2人は日本語と英語のバイリンガルスキルを活かして客室乗務員として勤務している。

 「一緒に就職できるとは思っていませんでしたが、結果的には(偶然)、母と娘で同時入社できました。度々一緒のフライトになることもあります。弊社にはアジア人だけでなく、フランスやアメリカなど海外出身の客室乗務員がたくさんいます。人種、年齢、性別、まったく関係ない。日本ですとどうしても年齢が若くないと採用されないと思いますが、ここでは違います。先日もかなり年配の男性が中途入社しました。彼は年配のお客様への接客スキルが高く評価されて採用されたのだと思います。どんなスキルがあるのか、どんな人柄なのか、年齢や国籍でなく実績を見て採用してくれるのか多国籍文化のいいところですよね」(工藤さん)

ニュージーランド航空は親子留学の旅を安心してスタートできるように、様々な工夫とサービスを用意している。写真は子連れ家族に人気のエコノミー「スカイカウチ」。エコノミークラスの一部は3席予約すると一体型の簡易ベッドのようにして使える。座席下のフットレストが引き出せるのでカウチとしてゆったり寝られ、幼児連れでも安心だ。また、5~11歳(希望があれば16歳まで利用可能)の子ども向けには「エアバンド」というスマートバンドが付与され、搭乗ゲートに到着したか、荷物を受け取れたかなどが追跡でき、日本にいる親も安心できる。
ニュージーランド航空は親子留学の旅を安心してスタートできるように、様々な工夫とサービスを用意している。写真は子連れ家族に人気のエコノミー「スカイカウチ」。エコノミークラスの一部は3席予約すると一体型の簡易ベッドのようにして使える。座席下のフットレストが引き出せるのでカウチとしてゆったり寝られ、幼児連れでも安心だ。また、5~11歳(希望があれば16歳まで利用可能)の子ども向けには「エアバンド」というスマートバンドが付与され、搭乗ゲートに到着したか、荷物を受け取れたかなどが追跡でき、日本にいる親も安心できる。

 では最後に、気になる現地での暮らしのコストを調べてみよう。