時間の制約が大きい共働きママとパパ向けに最新の時間管理のテクニックをご紹介してきた本特集。最終回は、2年越しの「大作戦」を展開し、本腰を入れて社員の「ムダ時間撲滅」に取り組んでいるフジッコの取り組みを大解剖。不要な残業やムダ会議削減などに効果を発揮している同社の独自ルールやユニークなツールとは? 効果のほどは?

【「時間がない!」といつも叫んでいる人に贈る 仕事スキル実践法】
(1) 「仕事が時間内に収まらない」 共働き親のモヤモヤ
(2) 3人の共働き親の時短術 達人が改善アドバイス
(3) ECC取締役が時間テク伝授 パパママ現場リーダーへ
(4) 「超集中術」で育児疲れから仕事モードへ切り替える
(5) 「一生働くキャリア」をつくる共働き親の時間術
(6) 社員を消耗させる「ムダ時間」、撲滅の方法は?
(7) フジッコが2年越しの時短大作戦を展開 効果は? ←今回はココ

初年度はあえて「声かけ」にとどめた

 大手食品メーカーのフジッコは、2017年6月から「すこやかフジッコ大作戦」と銘打った全社的な働き方改革の取り組みをスタート。同年4月に海上自衛官から転身したというユニークな経歴の持ち主である、ダイバーシティ推進室(当時。現総務部)の豊田麻衣子さんが旗振り役となって、従業員の意識と行動の変革を推進し、会社全体としてのムダ時間撲滅を進めています。

 「取り組みをスタートさせた当時は、早く帰ることに後ろめたさを感じている社員が多かったり、18時以降に仕事を依頼する社内電話が鳴ったり、始まりや終わりの時刻を気にしない会議が頻繁に行われていたりと、終業時刻のチャイムが鳴っても帰りづらい雰囲気が会社を支配していて、『時間を意識して働く』という考えがないように感じました」と豊田さん。ただ、いきなり仕組みやルールを大きく変えても、かえって社員の反発を招いてしまい、改革が進まないと考え、初年度は意識改革に徹することに。「まずは、『早く帰ろう』『早く帰ることで生まれた時間を自分のために使ってみよう』といった声かけを行うにとどめました」

 2年目からは、労務管理の適正化に向けて本格的に動き出しました。

残業する人は、退社時間を手書きで記入したツールをパソコン周辺にかざして残業を「見える化」
残業する人は、退社時間を手書きで記入したツールをパソコン周辺にかざして残業を「見える化」
<次のページからの内容>

● 不要な残業の撲滅に着手 終礼とツールで残業を「見える化」
● 「予定の乱れ」がさらなるムダを生む理由
● ムダ会議削減に効く!「3レス・3ピタ・7アイテム」
● 進行役虎の巻
●  議論を横道にそらさないために、会議の冒頭で宣言すべきこと