子どものことをやりすぎないことが自主性につながる

 例えば子どもの服選び。翌日着る服を前日夜に選ぶのが山田さん家族の習慣だが、それを子どもたちにやらせることにした。また、子どもが散らかしたおもちゃを山田さんが片付けるのもなし。

 ただし、いきなり「自分で全部やりなさい」というのではなく、子どもが自分でできる環境を整えることにした。具体的には高さの低い棚を用意して子どもが洋服を自分で選びやすくしたり、洋服の量が多すぎると選ぶのが大変なので数を減らしたり、畳んでいると見づらいからハンガー収納にしたりした(結果的にそれが洗濯物を畳むのをやめることにも貢献している)。

 また、子どもは「片付けなさい」と言われても漠然とした印象しか持てず、何から始めればいいのか分からないもの。山田さんは「ブロックを赤い引き出しにしまいましょう」など、具体的に何をするか伝え、子どもが動きやすくなるようにした。

 自分でできるようになると、子どもは「できた」という満足感から自主的にどんどんできるようになっていく。

 家事の手伝いも、子どもがやりたいという気持ちを大切に考えるようにした。

 「最初は食器を洗っても水を出しっぱなしにしたり、自分でやるときの何倍も時間がかかったりしました」

 しかしここでグッとがまんすることで、子どもが自主的に家事を手伝うようになり、さらに本人の家事力にもつながっていく。将来的に見て自分のためにも子どものためにもなる。

子どもが自分でできるように「やめた」ことと「やった」こと

(1)洋服を選んであげるのをやめた。その代わり選びやすいように服を減らし、低い棚やハンガー収納を用意した

(2)子どもが散らかしたものを片付けるのをやめた。「片付けなさい」という代わりに具体的に何をどうするのかを伝えるようにした

(3)家事の手伝いで口を出すのをやめた。自分でやるときの何倍も時間がかかっても、グッとがまんすることにした