夫への過度な期待を“やめた”

 「私はあなたにこういう時にこういう風に褒めてほしいと伝えました。同時に、他の誰かに褒められるより、あなたに褒められたほうが何百倍もうれしいし、自己受容観が高まると話したんです」

 あなたに褒められるとうれしいと伝えることで、夫側は妻が自分を特別に思っていると感じることができ、それが二人の関係をさらに良くした。「具体的に説明しなくても分かってほしいと思うのは、単なる甘えと気付きました。私はこの時に、夫婦だから言わなくても分かるでしょう、という夫への過度な期待を“やめた”んですね。そのうえで、自分がやってほしいことは具体的に伝えることにしました」

 以降、山田さんは日常生活でも要望を常に具体的に伝えるようになったそう。

 「買ってきてほしいものは商品名だけでなく、写真まで送っておくとか。詰め替え用の洗剤を買ってきて詰めかえるところまでやってくれたときは、必ず感謝の気持ちを伝えるようにするとか。繰り返すうちに、今では洗剤が足りないことに気づき、買ってきて詰め替えるというところまでしてくれるようになりました」

自分の基準に合わせてもらうのだから“手伝う”スタンスでいい

 1つ印象的なのが、山田さんが夫や子どもに「(家事を)手伝ってほしい」と伝えているということだ。家事・育児において、「手伝う」という言葉は「主体性がない」など嫌われることが多くなったが、山田さんは家事において、「手伝う」という言葉を使うことに特に抵抗はないそう。

 「例えば私が部屋を掃除しようと思う部屋の汚さと、夫が考える部屋の汚さは基準が違います。なにしろ独身時代の夫の部屋はすごく汚くて、部屋が汚れているくらいじゃ死なないというタイプでしたし」

 この人と自分は部屋をきれいにする基準が違う、と当初から思っていたため、「部屋をきれいにしたいという願望は私しか持っていないのだから、私の基準まできれいにするということについては、協力してもらっていることになると考えることにしたんです」

 古新聞がたまっていても、ペットボトルの袋がいっぱいになっていても、夫はめいっぱいたまってから捨てればいいと考える派。すぐに捨てたいと思うのは自分だけの願望。自分の願望のほうに相手が合わせるのだから、「手伝ってもらう」でもいい。

 「あとは、夫が自分からやりたくなるような“道具”を用意する努力はしました。新聞をこまめに捨ててもらうにはどうやら山崎実業の『新聞紙ストッカー』がいいらしいとか」

 こうした努力の結果、夫に対してイライラすることがなくなっていき、今では夫もどうすればいいか具体的に分かるようになり、期待以上に動いてくれるようになったという。

 「私が家の中でイライラして機嫌が悪いと、周りも空気が悪くなってしまいます。だからまずは私が機嫌よく過ごすために、自分で自分の機嫌を取らなければだめだと思いました」

 自分が機嫌よく過ごすうえで、何が嫌だと感じるのか。この点に山田さんは注目し、「家族みんなが座ってくつろいでいる中、自分だけが家事をしているという状況が嫌だということに気づきました」という。

 そして様々な「いらない家事」を見つけてやめたり家族みんなが参加できるようにしてきたりしているのだが、その一つに「洗濯物を畳む」ことがある。次ページでは「洗濯物を畳むのをやめるための3つの方法」を紹介しよう。