自分を変えるには、一刀両断してもらうことも大切

 とはいえ考え方を変えるのは簡単ではない。高木さんの場合、自分の考えが煮詰まったり、自分を見失っていると感じたりした時には、ビジネスセミナーに足を運んだり、本を読んだりしていたそうだ。

 「ビジネスセミナーでは、お金を稼ぐ方法論だけでなく、家庭でもビジネスでも自分が輝くためにどうしたらいいかという話をする方が多い。結局、人は幸せになるために生きていると私は思っていて、その幸せとは何かを考える上で、役立ちました。本は、常に自分の視野を広げるのに大いに役立っています」

 いずれにしても、人の意見を参考にしようとアクションを起こすことで、違う発想が生まれると高木さんは話す。

 「例えば私は以前は缶詰さえ使わない派だったのですが、ある本を読んで、自分が血眼になって自己満足で作ったものより、子ども向けに作られた商品は嗜好、衛生面、安心安全面からもいい。冷凍食品でも缶詰でも、おいしくて安くて済むということに気付かされました。人によると思いますが、私自身は身近な人の意見より、こうしたビジネスセミナーや本のほうが取り入れやすい面があります」

 身近な人の意見は参考にはなるものの、プライベートな心情が入ってくるため、素直に受け入れにくいこともある。あるいは「これで大丈夫だよね」という傷のなめ合いをしてしまいがちでもある。それでは自分自身の成長につながりにくいと高木さんは言う。

 「自分を変えるには、自分に近くない存在の人に、スパンと一刀両断してもらうことも大切だと思うんです」

 高木さんが沖縄に移住して約1年。生活スタイルは大きく変わったが、今後も仕事でも家事でも育児でも、何かを変えたいと思う瞬間はまた来ると話す。「そのときには自分と向き合って、日々アップデートしていきたいと思います」

 

(取材・文/日経DUAL編集部 山田真弓 イメージカット/鈴木愛子)

高木ゑみ(たかぎえみ)
料理家、おもてなしプランナー
高木ゑみ 1985年、東京都出身。慶應義塾大学卒業後、数々の厨房で修業を積んだ後、エコール辻東京フランス・イタリアマスターカレッジへ。現在、沖縄で完全予約席・女性限定、入会手続き・入会金不要の1回完結型「ガルシェフ料理塾」主宰。企業向けにレシピ開発や出張料理、離乳食講座も手掛ける。著書は『ためない生活。』(主婦と生活社)、レシピ本『毎日らくちん「万能菜」』(宝島社)の他、『はかどるごはん支度』(幻冬舎)がある。