共働き家庭にとって大きなストレスになり得る家事を見直し、家族時間をよりよいものにしていくために、「家事負担」の軽減のヒントをプロフェッショナルの皆さんに伺っていく連載。前回は料理家・おもてなしプランナーの高木ゑみさんに「決まった時間にだけする家事」についてお話を聞きました。

 今回は高木さんが家事を“ついで”にする理由について、お話いただきます。

血眼になって掃除をする必要はない

 子どもといる時間を大切にし、家事は時間を決めてするという高木さん。時間がなくなったら家事をするのをやめるため、「床掃除をしない日もあります」と言う。

 「もちろん、自己嫌悪に陥るくらいならやればいいと思いますが、時間同様に、やる・やらないにも“メリハリ”があっていいと思っています」

 掃除機は毎日かけなくてはいけないわけではないし、風呂掃除も毎日湯舟も洗い場もピカピカに磨き上げなければいけないわけではない。多くの家事は、自分自身が「こうしなくては」と思うことで、できなかった自分を責めてしまうことが多いのではないかと高木さんは言う。

 「体の衛生上もそうですが、生活・精神衛生上に大きな影響を及ぼすのでなければ、そこまで血眼(ちまなこ)になってやらなくてもいいんじゃないかなと思います」

 高木さんにとって掃除は、“ついで”が最大限生かせる家事の一つだ。

 「私はいつも、お風呂の時もトイレの時も“ついで”にきれいにするようにしています。お風呂に入った後は、さあ出るぞというタイミングで湯船の栓を抜き、そのときについでにスポンジで湯船をこすって洗います。それで全然きれいになりますよね。お風呂の壁もそうです。あとはさらにお風呂にお湯をためるときにクリーナーを掛けてスポンジで少しこすり洗いするくらいで十分清潔に保てます」

 お風呂は温度・湿度、栄養源の3つがそろうとカビが増えやすくなり、そうなると掃除が大変なのだが、日ごろから皮脂やあかなどが貯まらないように入浴後に壁や床を掃除しておき、換気をすれば汚れることなく、大掃除の必要もなくなると高木さんは言う。