「例えば、子どもがおにぎりにはまっているときは、おにぎり用の塩・のり・のりを切り抜くパンチやはさみを一式にして缶にしまって冷蔵庫に入れておきました。そうすれば、“いちいち用意する。いちいち片付ける”という時間が省けるだけでなく、急いでいて片付けられなかったときに、ああ、今日は時間がなくて片付けられなかった──と“気分が落ちる”こともなくなるからです」
一つの考えに縛られず変えていくのが家事
高木さんはこうした“この一連の動きをスムーズにするためにどうすればいいか”を、自分の生活スタイルや子供の成長に合わせて日々アップデートしていっている。
「例えば、靴下が乱雑に脱がれた状態を眺めながら、どうしたらこれを回避できるかと考えるなど、イライラポイント、気分が落ちるポイントは何かを考えて、毎日更新していますね」
毎日考えるのは、「家事はその時々の生活状況によって、変えていくものだと思っているからです」
以前、本を書いたときと現在では、状況も気持ちも変わってきている。自分が書いたことだからと縛られることなく、「嫌だな、イライラするな」と思ったら変える。
「たとえそれがちょっとしたことだとしても、毎日繰り返されるとそれがとても無駄な時間に思えるんです。ちょっとのことでも改善されれば、とても良い時間が持てますし、イライラしなくなるのはとても気持ちいいことですよね」
ただし、高木さんも初めから今のような考え方だったわけではないという。
「結婚して、子どもが生まれてから、“すべて完璧にはいかないんだ”と認識したんです」
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次回は高木さんが家事を含め、悩みや問題から抜け出すための方法を聞いていく。
(取材・文/日経DUAL編集部 山田真弓 イメージカット/鈴木愛子)
料理家、おもてなしプランナー