2018年8月、東京・日本橋でスタートした異色の大学院大学・至善館。仏インシアード経営大学院や英ロンドン大学経営大学院など世界的なビジネススクールで教べんをとってきた野田智義氏が今なぜ、新たな大学院大学を創設したのか。そこには歴史的な転換期に直面する世界と、未来に挑戦できるリーダー人材に対する危機感があった。
「リーダーとは目指すべきものではなく、結果として『なる』べきもの」、「学歴も肩書も不要。リーダーとは自らを信じて行動する人のことである」……創設者である野田智義氏が至善館創設の経緯とともに、独自のリーダーシップ論を語る。
教育プログラムの底流にある「From Knowing to Doing to Being」
前回、至善館の教育プログラムには3つの特徴があるとお話ししました。今回はその3つ目、プログラム全体の根底にある「From Knowing to Doing to Being」の思想についてご紹介します。
私はこの連載の最初に、「どんな未来を創りたいのかを深く考え、その実現のために自ら行動できるリーダーが求められている」と述べました。言うまでもなく、リーダーにとって最も大切なのは知識や教養ではなく、「行動」と「挑戦」です。不確実性の高い時代においても、失敗を恐れることなく、自ら行動し続けるような人材を輩出する教育こそ、至善館が目指すものです。
では、人はどうすれば自ら行動するのでしょうか。そこで求められるのが、実は「内省」なのです。自分はどんな人間なのか。あらゆる価値観の中で何を最も大切にしているのか。かけがえのない一度限りの人生で、何を成し遂げたいのか。自分自身に問い掛け、自分なりの答えを導き出している人でなければ、不確実性やそれに伴うリスクをはねのけてアクションを起こすことはできません。誰かに与えられた目標や意味づけでは、行動の本当の原動力にはならないからです。
至善館で実践している教育のパラダイムは、「From Knowing to Doing to Being」。つまり知識(Knowing)の習得ではなく、行動(Doing)を起こすこと。そのためには自分が何者か(Being)を理解することが欠かせない、という意味です。スキル教育やリベラルアーツも含め、すべてのプログラムの根底にこのパラダイムを据えて、独自のリーダーシップ教育を行っています。

次ページから読める内容
- 日本の中枢にいるのは“いい子ちゃん教育”のエリートたち
- 東洋的な内省と西洋的な内省の融合を目指す
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